酒造りの季節を迎え、蒸し上がった米を仕込む田中真澄さん(右)と忍さん(左奥)=明石市大久保町江井島、太陽酒造 兵庫県明石市大久保町江井島の「太陽酒造」は夫婦2人だけの小さな老舗酒造会社だ。阪神・淡路大震災で運命が一変し、一時は約2億円の借金を抱えた。現社長の田中忍さん(69)と妻の真澄さん(64)は何度も危機を乗り越え、昨年5月に借金を完済した。「運がよかったんや」とぶっきらぼうに笑う夫を「お互いよく頑張ったよね」とたたえる妻。2人は今年も、小さな蔵で酒造りに精を出す。(勝浦美香) 1995年1月17日、酒蔵は全壊。倒壊は免れ、酒造りを再開する設備は1週間ほどで整った。だが、主な取引先だった神戸の飲食店は全滅。酒を造っても売る相手がいなくなった。 すぐに借金が膨れ上がった。取引銀行も経営破綻し、整理回収機構から5年以内の返済を言い渡された。 「酒造りはもうやめよう」。2006年、蔵の売却を
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