学術支援型知識庫開発プロジェクト 倉石武四郎博士講義ノート デジタルアーカイブス Digital Archives of Lecture Notes by Dr. Takeshiro Kuraishi
学生たちに日本関係の辞典・事典のごくごく初歩的なことを手短に教えてくれないか、というご依頼。それは得意分野(?)ですし、こちらでお世話になっているお礼も兼ねて快諾して、実際に手にとってもらいながらいろいろと説明したり注意点を教えていたところ、図らずも久しぶりに「先送り語釈」を見つけました。 「先送り語釈」(私の造語)とは、2回以上語釈が先送りにされる例、要するにAの項目で明快な語釈が与えられずに「Bを参照せよ(Bに同じ)」とあり、Bを見ると「Cを参照せよ(Cに同じ)」と出てくるアレです。昔、面白がって探したことがあります。今となっては一例も思い出せませんですけれども。どこかにメモしているはずなので、それが出てくるといいな。 我が東洋の訓詁学には「互訓」という、「先送り」「たらい回し」ならぬ「循環」語釈といえる恐ろしいものがあって、「AはBなり」でBを見ると「BはAなり」と出てきたりして目を
こんにちは、保存修復室の瀬谷愛です。 5月17日(火)の公開以来、多くの皆様がマンショ君に会いに来てくださっています。ありがとうございます! バナーがババーン! 本館7室は、いつもとちがう雰囲気です。 マンショ君。皆様のイメージどおりでしたでしょうか。 それとも、意外とイケメン? 平たい顔族じゃない? 画家のフィルターがかかっている? 色々なご意見があると思います。 歴史上の人物たちはどんな顔をしていたのか? 写真のない時代について、肖像画はその問いに答えてくれます。 ですが、肖像画を発注できる人は高位の人物だけ。 経済的な問題だけでなく、その肖像を残すだけの地位、価値、意味がないといけません。 伊東マンショも、もし使節としてヨーロッパに行かなければ、その姿が描かれることはなかったでしょう。 さらに、伊東マンショの肖像については、 5月18日(水)九段下のイタリア文化会館で開かれたシンポジ
◆国文学研究資料館へ…写本・絵巻物1000点評価額8億 品川区の書家・芦沢美佐子さん(87)が、夫とともに60年以上にわたって収集してきた平安時代の歌物語「伊勢物語」の写本や絵巻物約1000点を、国文学研究資料館(立川市緑町)に寄贈した。総評価額8億円余りの貴重な品々で、同館は26日、芦沢さんに感謝状を贈呈し、今西祐一郎館長は「世界最大のコレクションと言えるのではないか。研究に大いに生かしたい」と謝意を伝えた。 芦沢さんは、学生時代から伊勢物語を収集していた夫の新二さんと結婚後、自らも収集に没頭し全国各地で古書を購入。1960年代半ばには自宅に蔵を建て、「鉄心斎文庫」と名付けて保管していた。 89年に新二さんが亡くなってからも収集を続け、91年には神奈川県小田原市に「鉄心斎文庫伊勢物語文華館」を開設し、年に2回、一般公開を行っていた。だが20年を節目に2011年に閉館。以前は品川区にあった
『DTPの勉強会 第21回』に参加してきました。今回のテーマは「はじめての印刷入稿のためのデータ作成入門」です。 ★はじめての印刷入稿のためのデータ作成入門☆スピーカー【RIP解説】 ・森脇 恵さん(研友社印刷株式会社・CTP業務課) 枚葉オフセットメインの印刷会社にてRIP周りの業務を担当。 Apogee Prepressを運用中。【データ作成】 ・尾花 暁さん(あかつき) 出版系のデザイン・DTPをメインとするデザイナー。 「+DESIGNING」でDTPに関する執筆を担当。【PDF入稿】 ・笹川 純一さん(株式会社吉田印刷所) 2000年から印刷通販を始めた時の立ち上げスタッフ。 入稿データの編集とRIPを担当(当時)。 「DTPサポート情報」というサイトにて情報を発信。 「はじめての」と銘打たれた今回のテーマではありますが、初心者向けというより一歩踏み込んだ印象です。
*本講座は全4回を予定していますが、今回販売するのは全4回通しチケットおよび第1回(6/10)、第2回(6/17)の各回チケットとなります。第3回および第4回のチケットは後日販売開始します。 オンラインゲーム「刀剣乱舞」の流行で刀剣展はどこも大盛況。でも、「お目当ての刀に会えて興奮したけど、刀ってどこをどう見るもの?」「名刀にまつわる伝説はどこまで本当?」「刀って買えるの? 買ったらどうケアするの?」など、見てますます知りたいことが増えた方も多いでしょう。 ラカグsokoでは東京国立博物館で金工分野を担当する新進気鋭の研究員・末兼俊彦さんをお招きして、驚きと発見に満ちた〈刀剣の最新事情〉を知る講座を開講します。刀って何?という初めの一歩から、名物刀剣の伝承検証、刀剣業界の内情、博物館の裏話などなど、現役研究者ならではの知識を巧みな話術でお送りする100分間です!
徹夜続きの設計事務所スタッフに朗報!! プレカットされたパーツを切り離すだけで簡単に組み立てることができる添景セットシリーズ第9弾、オーケストラ編です。 オーケストラを構成する楽器を収録しました。組み合わせによってピアノリサイタルや弦楽四重奏、ジャズセッションの情景を製作することが出来ます。ディテールを省略したシンプルな造形は、汎用性に富み、スケール感を引き立たせます。 収録: フルート、ピッコロ、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ティンパニ、シンバル、バスドラム、スネアドラム、トライアングル、ハープ、ピアノ、譜面台など ※オーケストラを編成するためには複数枚必要です。 パッケージサイズ:W110×H170mm 組み立て方はこちらの動画をご覧ください。 ご購入はこちらから
前回、ロンドンの地下鉄に夢中になった、という記事を書いた。 今回はロンドンの団地をご紹介したい。 そんなマニアックな趣味を…とお思いかと思いますが、騙されたと思ってどうか見てください。ほんとすごいです。ロンドンの団地。
【能登半島地震の影響によるお届け遅延について】 この度の能登半島地震において被害に遭われた皆様、 ならびにそのご家族の方々に心からお見舞い申し上げます。 一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。 地震の影響により商品のお届け遅延が発生する場合がございます。お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。 詳しい状況につきましては、各配送会社のホームページをご覧くださいませ。 ヤマト運輸/佐川急便
落語『粗忽長屋』の粗忽ぶり 落語には様々な粗忽者が登場して客席の笑いを誘う。『粗忽長屋』は、自分が死んだことにさえ気付かない男の噺だ。その粗筋は以下の通り。 松ちゃんが、人だかりのなかに友人の芳公が行き倒れで死んでいるのをみつける。松ちゃんは慌てて芳公の住む長屋に芳公を呼びに行く。現場に連れて来られた芳公は、その遺体を抱きあげて「抱き上げているワシはだれや?」というのがオチだ。 芳公を呼びにいく松ちゃんも、自分の遺体を確認に来る芳公も粗忽者だ。しかし、考えてみれば、私たちは自身の死を自身で確認することはできない。末期に「死ぬかもしれない」と予感はしても、「いま死んだ」と自覚することはできないはずだ。そういう意味では、私たちは松ちゃんや芳公を笑うことはできない・・・、いや落語なんだから、笑えばいい(どっちやねん!) 見方によれば、この二人は粗忽どころか「死」の本質をとらえているのかもしれない
2016年5月28日(土)15:00 開演(14:30 開場) 明治大学中野キャンパス5階ホール 入場無料 2046年。物質・情報も区別がつかないほど、自然とテクノロジーが調和し融けている未来。 ロボットや3Dプリント技術によって、日常生活はまるで画面のように書き換え自由となり、バーチャルやリアルという言葉すら、なくなっている。 人類の「感覚」やその概念も大きく変容し、そのためのコンテンツも、今とは違うものになっているだろう。本シンポジウムでは、「2046年におけるヒューマン-コンピュータインタラクション」をテーマに、30年先を見越した研究・産業・教育・文化のあり方を、先端の研究者たちが語る。 18:00~ 懇親会(明治大学中野キャンパス1階食堂) ■申し込みフォーム■ ※懇親会は未成年の参加を考慮し、ソフトドリンクとお菓子のみを用意させていただきます。明治大学中野キャンパス周辺には飲食店
The Early Modern OCR Project (Lead PI, Dr. Laura Mandell) is an effort, on the one hand, to make access to texts more transparent and, on the other, to preserve a literary cultural heritage. The printing process in the hand-press period (roughly 1475-1800), while systematized to a certain extent, nonetheless produced texts with fluctuating baselines, mixed fonts, and varied concentrations of ink (
岡本喜八『にっぽん三銃士 おさらば東京の巻』(1972東京映画)という映画のなかで、小林桂樹と岡田裕介との間に次のような会話が交わされる。 岡田 まあ、すさまじきものは宮仕えってことです 小林 すさまじきじゃないよ、すまじきものは宮仕えだよ。それがどうした? 小林 華燭の宴*1! カッ、近頃の若い者はこんな字も読めんのか 岡田 こんな字、当用漢字にないはずですがね 小林 あ…あるはずだ! 岡田 三階に部屋なしか 小林 違う違う、三界に家なしだよ! 原作(五木寛之著)は未読なので、このようなやり取りがそこにあるのかどうか分からないが、こういった個人的な思い込みに基づく誤用や誤読を指摘するのは容易なことである。 だが、しばしば「誤用」といわれる表現のなかには、よくよく調べてみると、実際にはそうとは言い切れなかったり、むしろ実はそれこそが「正用」だったりするものがある。 「爆笑」などは、その最た
5月24日、3月28日にトラブルを起こして機能を停止し、4月28日に復旧を断念したX線天文衛星「ひとみ」の「異常事象調査報告書」が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から文部科学省・宇宙開発利用部会・X線天文衛星「ひとみ」の異常事象に関する小委員会に提出された。 一言で言って、日本では珍しい、かなり“攻めた”内容の中間報告である。 事故が起きた原因は、今回の中間報告でほぼ判明した。そして、報告書からは、宇宙科学研究所(ISAS、以下宇宙研)という組織にかなり大きな問題があったらしいことが読み取れる。 この報告書は、組織文化の問題まで遡って原因を究明しようとする姿勢を見せている。よくここまで関係者がきちんと証言するだけの、話しやすい環境を作ったと思う。 前回、この連載で「JAXAから独立した強い権限を持つ事故調査委員会を立ち上げ、調査対象となる関係者に免責特権を与えて、すべての情報を引き出すこ
ロンドンで競売に先立ち公開された、1623年に出版されたウィリアム・シェークスピア全集の初版本。アナトリア通信提供(2016年5月25日撮影)。(c)Anadolu Agency/Ray Tang 【5月26日 AFP】(写真追加)英劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の1623年に出版された全集の希少な初版本が25日、ロンドン(London)で競売にかけられ、187万ポンド(約3億300万円)で落札された。競売大手クリスティーズ(Christie's)が明らかにした。 落札したのは米国の個人収集家。この初版本に加え、1632年、1664年、1685年にそれぞれ出版された全集も落札し、合計落札額は248万ポンド(約4億200万円)だという。 同社の書籍・写本部門の総責任者マーガレット・フォード(Margaret Ford)氏は「シェークスピアの人間性に
2016年 オバマ大統領が見た光景5月27日、広島。オバマ大統領はこの光景を生涯忘れないだろう。 戦後71年が過ぎ、初めてアメリカの現職大統領が被爆地、広島の地を踏んだ。広島平和記念公園、献花したアーチ型の慰霊碑の先に原爆ドームが見えている。被爆の悲惨さを、いまに伝える施設である。 慰霊碑から原爆ドームが見えるのは、偶然の産物ではない。 そこには一人の建築家の意志が込められている。彼だけが、取り壊しが検討されていた原爆ドームを、シンボリックなものと位置付けた。 「悲惨な戦争を想起させるものは復興にそぐわない」「役に立たない」「経済的ではない」。こんな批判を受けながら、死者を慰霊する空間を作り上げた。彼がいなければ、オバマ大統領はこの光景を見ることはなかった。 建築家の名前を丹下健三(1913-2005年)という。丹下は建築界のノーベル賞と称される、プリツカー賞を日本人で初めて受賞した世界的
きょう5月26日から2日間の日程で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が三重県志摩市にて開催される。日本でのサミットは、2008年の洞爺湖サミット以来、8年ぶり6回目となる。 「おいしい料理ものどを通らない」……昼食会でも悩み続けた首相 サミットでは毎回、各国首脳に出す食事をめぐって裏方たちが頭を悩ませている。日本で初めて開催された1979年6月の東京サミットでは、各国首脳がホテルオークラとホテルニューオータニに宿泊した。このときホテル側が事前に調べてみると、首脳によって卵の料理の好みさえ違ったという。 西ドイツ(当時)のシュミット首相は5分間固ゆでしたハードボイルドを好んだ。アメリカのカーター大統領はどちらかといえばスクランブルエッグが好きで、イギリスのサッチャー首相は、熱湯のなかに生卵を割り入れてゆでたポーチドエッグ派だった。さらにカナダのクラーク首相は目玉焼き、それも両側を焼いた「タ
唐突ながら、まずはお詫びと訂正から。きのう掲載のサミット関連記事の末尾に、私はうっかり「今晩開催される予定の晩餐会」と書いたが、これは調査不足による事実誤認であった。 実際には伊勢志摩サミット、というか7年前からサミットでは晩餐会は行なわれていない。代わりにワーキング・ランチとワーキング・ディナーが日程に組み込まれるようになった。 西川恵『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社、2012年)。著者は毎日新聞社の外信部で長らく記者を務めた経験から、同書のほか『エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食―』(新潮社)をはじめ『ワインと外交』(新潮新書)など、国際政治を食という切り口からとらえた好著をものしている 外務省の発表(PDF)によれば、昨晩(5月26日夜)、G7首脳に供されたワーキング・ディナーのメニューは「海の幸、トマトの魅力をさまざまな形で」との趣向による前菜をはじめ以下のようなも
ISBN: 9784000611121 発売⽇: 2016/02/25 サイズ: 20cm/288,3p 支配する人道主義―植民地統治から平和構築まで [著]五十嵐元道 人道主義とは尊いもの。多くが信じて疑わない観念の図式を本書は敢(あ)えて批評的検証の俎上(そじょう)に載せる。 注目されるのはトラスティーシップという概念だ。それは非文明圏の混乱や貧困に心を痛め、そうした「病理」からの救済を文明国の義務とみなす人道主義的な考え方として英国で使われ始め、植民地支配を正当化する論理となってゆく。 実は第2次大戦後の世界も同じ轍(てつ)を踏んでないか。著者は依然としてトラスティーシップの考え方が支配的な国連の信託統治や開発援助、紛争地の国際管理などに検証を広げてゆく。 人道主義を具体化する「善なるトラスティーシップ」と人道主義を濫用(らんよう)し、介入する「悪なるトラスティーシップ」がある——、
量販店などによる行き過ぎた酒の安売りに歯止めをかける改正酒税法などが、27日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。 改正によって、財務大臣が、酒類について新たに「公正な取引の基準」を設け、これに従わなかった業者の販売免許などを取り消すことができるようになります。 酒の販売を巡っては、これまで段階的に規制緩和が行われ、酒店以外の量販店などでも販売しやすくなったことで、価格競争が激化し、中小の酒店からは経営が圧迫されるという声が上がっていました。 具体的な「取引の基準」は今後検討されますが、内容によっては、消費者が値下げによるメリットを受けにくくなるのではないかという懸念も出ています。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち) 1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。 北海道新幹線・札幌駅予定地が消えた 新幹線の駅は在来線の駅に隣接して作られる。これは大原則だ。そもそも東海道新幹線は「東海道本線の特急用複線追加」という概念であったから、新幹線の
1945年8月6日に広島に落とされた原子爆弾によって亡くなった犠牲者の中には、12人の米兵捕虜も含まれていた。アマチュア歴史家の森重昭さんは、40年以上を費やし、被爆米兵の遺族を探し当てた。アメリカのバリー・フレシェット監督が、その記録を『灯篭流し(Paper Lanterns)』にまとめた。 森 重昭 MORI Shigeaki 1937年生まれ。アマチュア歴史家。広島原子爆弾を経験。2008年「原爆で死んだ米兵秘史」(光人社)を出版。広島で妻・佳代子と暮らし、2人の子供がいる。 バリー・フレシェット Barry FRECHETTE 1970年生まれ。1992年米ストーンヒル大学卒業。25年間、ボストンで広報の短編ビデオを初めとする制作の仕事に携わる。現在Connelly Partnersでククリエイティブ・サービスのディレクターを務める。「灯篭流し(Paper Lanterns)は、映
湖北は李朝白磁のようで、寂しいけれども暗くはなく、しっとりしていても湿っぽくない。長浜をすぎると高月という駅になり、そこから東へ入ればまもなく渡岸寺で、ほとんど観光客が訪れない境内の堂宇に貞観期の十一面観音がある。白洲さんお気にいりの近江きっての観音像である。 本書『かくれ里』には詳細をふれていないが、のちの名著『十一面観音巡礼』では、渡岸寺の観音像を美しい言葉で彫りつつも、この観音のもつ悪の浄化の作用にふれていた。あの本は和辻哲郎の『古寺巡礼』を唯一の頼りに昭和7年のころに初めて訪れたという聖林寺の十一面を冒頭におき、羽賀寺、薬師寺、智識寺、月輪寺と辿って、最後の最後に渡岸寺におよぶというものだった。「湖北の十一面観音は白山の神が化身したものに他ならず」という一節がいまでも忘れられない。 白洲さんに「化身」という言葉を使われると、それだけで散華の香気に包まれるようなのだ(いま、念のため調
宮城県美術館に行くと、展観の都合にはよるけれど、だいたいの洲之内コレクションに会える。146点あるそうだ。 しかし、これは美術館に収まった作品群というものが負う「標本的宿命」のようなものに出会ったような気分がしてしまって、あの洲之内徹が東京で一番みすぼらしい現代画廊で集めつづけた作品という実感からは、なんだか遠いものになっている。 現代画廊というのは田村泰次郎が投げ出した銀座の画廊のことである。電通通りの日航ホテルの向かい側の建物の3階にある小さな細長い画廊で、ぼくは父の死後、早稲田をやめてすぐに並木通りの中島商事ビルのMACに通っていたので、そこから5分もたたない現代画廊は何度も覗いていた。もっとも、画廊は田村がやっていたころは1階にあったらしい。 それから現代画廊は東銀座の松坂屋の裏手に移った。銀座というのは妙なもので、西銀座に慣れると東銀座が遠くなる。ただし、現代画廊は特別で、なぜこ
『論語』というと、 非中国研究者に玩具にされる古典 である。それだけ、懐が広い、ということもできるだろうけど 原典に即せば、あり得ない「読み」 を 独自の読み としている所謂 『論語』本 が世に溢れている。 来る6/8に、井波律子先生の 全訳 論語 が岩波から発売される。井波先生の『論語』の読みは既に 岩波新書『論語入門』 で示されているのだが、新書では紙幅に限りがある。 是非、『論語』全体についての井波先生の訳を拝読したい。 と、思っていたら、岩波書店「来月の新刊」に 井波律子『完訳 論語』 の予告が。 実に楽しみだ。 『論語入門』の読み方からすると、漢学宋学の両方の成果を取り入れての解釈になると思われる。師の吉川幸次郎先生と同じアプローチの仕方である。所謂『吉川論語』は、 先師尾崎雄二郎先生 という良き受け手を得て成った書であるけれども、井波先生は、どのように稿を進められたのだろうか。
シリーズ「美術館とコレクション」番外編 『美術館の舞台裏―魅せる展覧会を作るには』(ちくま新書)刊行記念企画 高橋明也と藤原えりみから学ぶ 美術館の歴史 ~ギリシアから現代、そして未来へ~ ※当日券あります※ 当日券ご希望の方は、お時間(開場17:30~、開演18:00~)になりましたら直接会場にお越しください。 当日券は先着順でなくなり次第終了です。 みなさまのご来場を心よりお待ちしております。 お問い合わせ:青山ブックスクール 03-5485-5513 シリーズ「美術館とコレクション」では、これまでに太田記念美術館、原美術館、東京国立近代美術館、根津美術館、神奈川県立美術館、青森県立美術館とともに美術館にとってのコレクションの役割をさまざまな角度から考えてきました。今回は三菱一号館美術館館長 高橋明也さんの『美術館の舞台裏』(ちくま新書)の刊行を記念して、「美術館とコレクション」そして
01 今回ご紹介したお店 今回は京都を通して、3万円で自分だけのおうちカフェを創る方法についてのお話です。 このコラムが縁となり、拙筆のブログを見たという声を多くいただいており、大変ありがたくも恐縮している。そして同時に、「ブログの写真でアップされる自宅スペースが、とても家だとは思えない」という声をよくいただいている。 私は自宅をカフェのような設えにして遊んでいる。元々整理整頓が苦手であるのだが、パブリック・スペースのような室内にしたらちょっとは家の中を清潔に保てるのでは、と思ったのがきっかけで、ならいっそ珈琲を楽しむに相応しい空間にしようと、私の自宅カフェ改造計画は始まった。俗にいう「カフェのような空間」になるためには、実際のカフェにどんなモノがあるのか、実際にカフェへ行きあれこれ観察しながら考えるのもまた楽しい。 カフェ空間として、スタイリッシュだったり家庭的だったりと様々な趣味嗜好が
新字の「法」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「灋」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。旧字の「灋」にいる「廌」は、古代中国における神獣の一種で、その角に触れると立ちどころに罪の有無がわかるらしいのですが、新字の「法」ではどこかに逃げてしまっています。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表2528字を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、新字の「法」が含まれていました。昭和17年12月4日、文部省は標準漢字表を発表しましたが、そこでも新字の「法」だけが含まれていて、旧字の「灋」は含まれていませんでした。 昭和21年11月5日、国語審議会が答申した当用漢字表にも、やはり新字の「法」が収録されていて、旧字の「灋」はカッコ書きにすら含まれていませんでした。翌週11月16日に当用漢字表は内
井の頭自然文化園で飼育されている、アジアゾウの「はな子」ですが、2016年5月26日(木)朝、室内で横臥していたため、自力で起立を促す試みを続けていましたが、残念ながら15時4分に死亡が確認されました。 ゾウ舎前に献花台とメッセージを書いていただく用紙を設置します。 はな子は1949年9月2日、タイと日本国の友好のシンボルとして子どもたちの要望を受けて来日しました。1949年の来日時、2歳半くらいでした。正確な生年月日が不明なので、毎年1月1日を誕生日としており、今年(2016年)に69歳を迎えたところでした。 死亡確認日時は2016年5月26日(木)15時4分、死因は不明です。5月27日に解剖検査を実施予定です。 (5月27日追記) →解剖をおこなった結果、死因は、継続的な横臥で肺のうっ血を引き起こしたことによる呼吸不全と判明しました(お知らせ)。 死亡の状況 26日 8:30 ゾウ舎室
のろのろと遅く、車両は古くさい。何より車の通行に邪魔――。そんな理由で姿を消していた路面電車がいま、次世代型の路面電車システム「LRT」として復権を始めている。床が低くて乗りやすく、デザインも斬新。路線バスなど他の公共交通との乗り継ぎもスムーズだ。車社会で「郊外へ郊外へ」と伸びた街を逆回転させ、空洞化した中心市街地に再び人を呼びこむ狙いもある。はたして地方都市再生の切り札になるか。(Yahoo!ニュース編集部) JR北陸新幹線の富山駅の改札を出ると、正面に路面電車の停車場がある。客を待つのは「LRT」(ライト・レール・トランジット)と呼ばれる低床式の車両だ。古くさい箱型ではなく、2両編成のしゃれたデザイン。富山駅は全国で唯一、路面電車が乗り入れる新幹線駅である。 このLRTは民間の富山地方鉄道が2009年から運行しており、富山駅南側の市街地を走る。メーンは中心街をぐるりと回る環状線「セント
本書は16人の在野研究者の生き様を紹介するというシンプルな構成だ。謎の同人ウェブメディア「En-Soph(エン–ソフ)」での連載シリーズ「在野研究のススメ」を、再構成しまとめたもので、すべての章は読み切りだ。 論文の数や掲載誌のインパクトを追求する一般的な研究者とは異なり、我が道、我が学問を行く在野研究者たち。制度や固定観念に囚われることのない、彼らの研究内容は独特で、鋭さと危うさを兼ね備えた魅力を持つ。しかし、研究内容にもまして、興味深いのは、その生活事情や金銭面の工面である。そこはしなやかで、したたかに、自分のやりたいことを、やり続けるための作戦がある。 生活のできる限りを研究に捧げるために、利用できるリソースを徹底的に活用するストイックな姿勢を崩さないのは、研究のために「どれくらい働いたらいいか?」という問いを立てた三浦つとむである。一方で、親の仕送りに寄生し、弟に呆れられるまで海外
【ムー編集長に直撃】ニュートンとのイチャイチャ話の真相を聞きに行った。はずなのにSTAP細胞や重力制御の話になった…… 先週、「ニュートン」編集部と「ムー」編集部との“知的な”やりとりがTwitter上で取り交わされ、ウェブを中心に話題となりました。いまさら便乗商法! というわけではないのですがGetNavi編集部は、一連のやり取りの詳細を改めて聞きにムー編集部を直撃! 三上丈晴編集長が対応してくれました。 ↑三上丈晴編集長 「ニュートンは錬金術師で、オカルティストだと信じております」という切れ味ある回答は誰によるものだったのか? というのは濁されましたが、ニュートン編集部とは旧知の仲だったことなどが明らかに。 でも、自らを「エンタメ雑誌」と語るムーだけあって、もてなしも半端ない! いつの間にか、人工重力装置の話やSTAP細胞のこと、などなど怒濤トーク。むしろ、こっちの話のほうが“ムー”ら
宣伝会議がタイポグラフィの実践講座を開催するそうで、本講座に先立って無料体験講座が4月21日に開催されていたので、参加してきました。講座の内容は、実践というよりは古平さんの実績紹介を通じ、タイポグラフィで気をつけているポイントの紹介、というスタイルでした。 自分自身の専門はオンスクリーンではありますが、文字表現の根本的な考え方は媒体に左右されるものではないので、ぜひこの機会に話を聞いてみたいと思い、参加に至りました。大きく3つほどの学びがあったので、ここでメモしておきたいと思います。 古平正義さんのプロフィール(宣伝会議のサイトより) FLAME アートディレクター/グラフィックデザイナー。1970年大阪生まれ。アキタ・デザイン・カンを経て、97年よりフリーランス、2001年FLAME設立。主な仕事に、「ラフォーレ原宿」広告・CM、「アートフェア東京」「ローリングストーン日本版」アートディ
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