〈ザ・サークル〉(2020年)雨風が入る路地がある一つの町のような建築。チューリヒ国際空港の複合施設。24時間、自由に出入りできる幅8mの通路に面してコンベンションホールや商業施設がある。コンペによるものだが、そのプロセスの丁寧さも印象に残った、と山本は言う。photo_Flughafen Zürich AG “建築界のノーベル賞” とも言われ、毎年その行方が大きな注目を集めるプリツカー賞。今年の受賞者は山本理顕、日本人では9人目の快挙だ。 審査委員長のアレハンドロ・アラベナは、山本の建築について「パブリックとプライベートの境界線を慎重に揺るがし、人々が集まって交流する機会を増やす」と評する。山本は以前から「地域社会圏」というコンセプトを標榜してきた。人々が住宅や施設の中に閉じこもるのではなく、さまざまな関係性を作り出せるような建築だ。そこでは建築と外側との関係を設計することが重要になると