頂戴しました。ありがとうございます。経済学が当初から単なる効率性のみを追求するだけの学問ではなく、貧困問題など社会福祉にかかわる問題やビジョンを検討してきたという問題意識から、旧版同様に、代表的な経済学者をあげて、彼らの経済思想と福祉のビジョンとの関連を簡潔にまとめた論説を多数収めたものです。冒頭で教材としてどのように使うかや、またコラム、読書案内なども充実していますね。 個々の経済学者については現在の日本の若手研究者から中堅研究者を中心に執筆が分担されているのもひとつの特徴です。若干、本書の題名通りに経済思想的に傾斜しているので、経済理論との関連が甘いように思える箇所もあったりしますが、ともかく類書がほとんどない中では、依然としていい試みだと思います。 やはり自分の関心領域はまっさきに読むのですが、福田徳三と河上肇を比較した章は、残念ながら経済理論的にも意味が不明ですし、また戦後の日本の
さて、今年もいよいよ大晦日で、娘たちも帰ってきて久々の賑わいである。食事も済ませて紅白歌合戦なんぞを見はじめるが、もう一つそのノリについていけず、他のチャンネルに切り替え。でも、他も同じようなものばかりなのだった。 その雰囲気を一言で言えば、仲間内の打ち上げといった感じで、大晦日にはまことにふさわしい娯楽といえるのかもしれない。でも、一緒になって楽しむ気分になれないと、どうにも居心地がよくないタイプであるのもまた事実。 その連想で、表題のポストフェストゥムという言葉を思い出す。この言葉は本来、G・ルカーチというマルクス主義的知識人が1920年代にその著書の中で使った言葉で、ブルジョワジーは繁栄を享受しているが、彼らは没落を運命付けられていて、繁栄の後夜祭-「後の祭り」を味わっているだけだ、と言うほどの意味であった(らしい)。 ところが、向こうの偉いサンがいうことは何でもありがたがる日本の風
1971:クーン科学革命の構造 僕が日本の社会科学者の間でもっとも知られる理由は、僕がクーンの『科学革命の構造』を訳して、パラダイムという言葉をはやらせたからであろう。クーンについて僕は彼が無名であったハーバード時代からきわめて強い接触があり、当然日本人の間では、彼を知る最良の人物であろう。だから、パラダイムという言葉を誰よりも早く知り、その前概念である「ドグマ」もクーンの意味で使ったことがある。 ただ、パラダイムや「通常科学」を自分の論文にいくら使っても、どうも日本人は誰も理解していないらしい。それを引用されることもない。 そこで仕方なく、僕はクーンの『科学革命の構造』を訳すことを思い立った。僕は若い頃と違って、その頃にはもう翻訳をするよりも、自分の仕事がしたかった頃である。そしてそのことを『自然』の岡部君に話した。しかし彼はクーンのことは知らず、僕にそれよりも意義がずっと低い論文を訳し
クーンの反響 僕は、やはり訳しておいてよかった、と思った。はじめはそれほどでもなかったが、そのうち加速度的に読んだという人が僕のまわりに出てきた。英語の本など、誰でも読むだろうから、クーンは特に外国で社会科学者によく引用されているから、とっくに知られているだろう、と思っていたが、そうではなかった。僕のまわりでは、やはり訳書が出てから急速に知られるようになった。 反応は様々である。まず、物理化学系の人は、ここに書いてあることは至極当たり前だ、というだろう。ただ、自分の研究生活に比べて考えて、「俺は通常科学ばかりやって来たな、パラダイムは作れなかったな、情けない」、つまりパラダイムか通常科学かをめぐって価値的な評価をする。それに対して僕は、パラダイム作りは当たるかどうかわからない、いわば千三つだ。それを支持して通常科学を作ってくれる後続者を引きつけられないと、パラダイムにならない。時の運もある
【本会の助言例】 1999.5.29,2005.8.17更新 1. マンションのベランダでの迷惑タバコの問題は,たくさんの方から寄せ られています。 マンションの場合,隣り,及び,階下の人のベランダ等からのタバコの煙 が問題にな っています。このことに関する私どものアドバイスとしては, �@難しいでしょうが,直接お隣さんにやんわりとタバコの煙で迷惑している事を伝える。 �Aマンション自治会・管理組合にこのような問題もあると問題提起して,役員会で論 議してもらう,回覧,掲示等で近所迷惑防止をしてもらう。 ・自治会新聞のようなものがあれば,匿名ででも投書する。 ・分譲マンションであれば,集会所やエレベーターを先ず禁煙にするよう提案する。 このような共用部分は皆の共有物なので,煙で汚れ補修に余分に費用がかかる のは財産権の侵害になるという理由は正当です。 ・自治会や管理組合
今日、日銀で行われたコンファランスにおけるバーナンキ議長の講演 FRB: Speech--Bernanke, Central Bank Independence, Transparency, and Accountability--May 25, 2010 ざっと見て気にになるのは、"The Case for Central Bank Independence"の部分。 A broad consensus has emerged among policymakers, academics, and other informed observers around the world that the goals of monetary policy should be established by the political authorities とか、こういうさりげない部分が日本ではうや
内戦や政情不安などにより経済が不安定な国では、通貨価値の変動が大きくなります。これはアメリカの評論誌Foreign Policyのネット版が発表した、世界で最も価値の低い通貨のトップ5です。事情を考えると納得の選定です。 Foreign Policy: The List: The World’s Worst Currencies ◆ソマリアシリング:ソマリア by Kiklub DK ソマリアは1991年に勃発したソマリア内戦以降、中央政府が存在しない状態が続いているため、経済は完全に崩壊状態。「モガディシュの戦闘」が映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれたように、国連による介入が失敗に終わったのは非常に有名です。内戦は終わりが見えず、2007年に暫定政府軍がソマリアのほぼ全土を制圧しています。通貨はソマリアシリング(SOS)。大量の偽札流通などで価値が急落、ソマリア国内でもドルやユーロ、
以前、『空気を読まない中杜カズサ』のほうで、「ジンバブエで起きてるハイパーインフレについてのメモ 」というのを書いたのが、2008年の3月。そしてその後選挙が行われて大混乱となったまではよくニュースで出てきたのですが、その後ニュースソースが無くなってきました。しかしハイパーインフレはそう簡単には収束しないでしょうし、動向が気になっていました。というわけで今回、調べてみることにしました。 ジンバブエの歴史その1・独立と経済混乱スタート まず、基礎知識から。現在アフリカのジンバブエでは、世界一のハイパーインフレが巻き起こっています。その理由は主に、ムカベ大統領の独裁による、極端な政策によるものと言われています。それに関しては有名なコピペがあります。 ジンバブエの簡単な解説 今までずっと少数派の白人が政治の実権を握っていたが、民主的な選挙で、黒人政治家が増える ↓ とうとう初の黒人大統領が誕
レストランの客は食事代600万ドルを支払うため、巨大な紙幣の固まりを取り出す…ジンバブエは超インフレによって経済的カオス(混沌)にある。ジンバブエは国際的に孤立を深め、通貨(ジンバブエ・ドル)は暴落し、いまや食品や生活必需品の不足が深刻だ。政府当局はインフレ率が約7,000パーセントで世界で最悪だとしているが、IMF(国際通貨基金)によれば、実際のところは2万5000パーセントものインフレで、年末までに10万パーセントに達するだろうという。 http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/news/worldnews.html?in_article_id=482957&in_page_id=1811 1980年の独立以来、最悪の経済恐慌に直面しているこの国への航路は赤字が膨らむ一方だとして、英国航空は、この国へのすべてのフライトを中止すると発表
戦後ドイツを悪性インフレが襲った。 既に1920年の段階で、マルクの価値は戦前から10分の1まで落ちていた。そしてこの下落は底無し沼のように、続いた。そしてインフレの常で、根本原因の把握は難しい。 そして受益者と損失を蒙った人々を判別するのは簡単である。端的に言えば、借金をしていた人間・組織が利益を受け、預金をしている人間は損をする。その他は価格が調整される間が問題となる。 例えば、俸給生活者は給料日と次ぎの間だけである。ただしこれはそれ程大きなものではない。通常は何らかの生活防衛システムをもつものだ。その点ではむしろ受益者といえるかもしれない。少なくとも卸売り、小売業や製造業は膨大な利益が伴った。つまりインフレ自体は直接労働者にとりそれ程有害ではない。とくに貯蓄が無価値となるから国民の間の貧富の差は減少する。つまり老人、主婦を除いて同じスタートラインにつく。 そして、見逃されやすいのが輸
ガザ援助船団(昔の記憶) 2010年06月02日 09:20 イスラエルアメリカの外交政策 ガザへの人道物資を積んだ援助船団の対するイスラエル軍の武力行使が、国際的に大きな注目を浴びていて、例えば2日の朝日の朝刊なども国際面の半分近くも使って事件の概要、各国での反応などを大きく報じていました。 イスラエルの反応もかなり詳しく報じられていて、よくこのブログでもご紹介するhaaretz と言う中立系の新聞が極めて厳しい政府批判の論説を載せたと報じています。確かにこれらの新聞、また一部のイスラエル人はがざ封鎖の有効性、正当制について疑問を挟んできましたが、今後このような声が強まることも全く無いとは思えません。 他方、イスラエル政府や多くのイスラエル人の間では、船団を送り込んだ者の真の目的は人道物資を送り届けることではなく、がざ封鎖を撤回させることだとして反発を強めているとも聞きます。 この話を聞
というわけで風邪とぎっくり腰でまるまる一週間寝たきりである。気候がよいのでのんびりしてたら気持ちいいんだけどな。まあ年末からずっとまとまった休みがなかったので、学生どもには申し訳ないが一週間休ませていただいた。 で、ちょっと調子の良い夜に、主要な部分は一時間半ほどでわわわっとついったーに書いたものがまとめられてしまい、お恥ずかしいかぎりであるが、ブログのほうでもまとめとけというご意見をうかがい、以下にまとめさせていただく。別に『概念の社会学』を炎上マーケティングするつもりは毛頭ありませんでした、泰斗さんすみませんでした。さらなる重版を祈念しております……。 とぎゃったーのまとめはこちら。 Togetter - まとめ「「児童ポルノに限らず、ポルノグラフィが業界全体としては女性に対する(暴力とまでは言わんにしても)搾取で…… Togetter - まとめ「ポルノを巡るえとせとら」
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