「日本人は歴史と現在が一体であることがわかっていない」と猪瀬直樹は語り始めた。ウクライナの問題は、いま単独で起きている現象ではない。20世紀以降のヨーロッパの激動と歴史が、現在に至るまで続いている一つの過程だ。ただの情勢論ではウクライナを語れない。その鍵になるのが、歴史の検証をクリエイターが続け、物語に仕立てあげた多くの映画だと猪瀬は言う。 人肉を喰らって生き延びるウクライナの民衆 2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻した。それから1カ月間、報道はウクライナ一色だ。ニュースショーのコメンテーターは、近視眼的なコメントを平気で口にして視聴者を混乱させている。こういう混乱期こそ、敢えて腰を据えてじっくり映画を鑑賞したい。100年前の戦争の歴史は過去形ではない。現下のウクライナ戦争は、100年前に起きた戦争の歴史の連なりなのだ。 まずはウクライナをめぐる衝撃的な映画「赤い闇 スタ