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ブックマーク / www.msz.co.jp (75)

  • 哺乳類の興隆史 | 恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで | みすず書房

    約3億年前に爬虫類の祖先と分かれたグループが、幾多の絶滅事件を乗り越えて私たちに至るまでの、途方もない歴史を描く書。 今、地球には約6000種の哺乳類が生息している。この動物たちは、哺乳類というグループが織りなしてきた豊かな系統樹のごくごく一部にすぎない。過去には、車のような大きさのアルマジロ、犬のような小ささのゾウ、マメジカのような華奢な四肢を持つクジラの祖先など、奇想天外な動物たちがいたことが化石記録から明らかになっている。 哺乳類の系統樹の枝は、小惑星の衝突や火山の噴火、気候の変動などに起因する絶滅事件により、大半が刈り込まれてしまった。しかし絶滅哺乳類が獲得した進化の遺産は、私たちの身体に確かに引き継がれている。たとえば、耳や顎の骨の形状、妊娠や乳児の成長の仕方、咀嚼を可能にした臼歯の形状や乳歯・永久歯のしくみは、私たちの祖先が3億年の間に一つ一つ獲得したものだ。 古生物学者たちは

  • 民主主義の人類史 | みすず書房

    政治体制にかんする、近年でもっとも重要な書だ」 スティーブン・レビツキー(ハーバード大学教授|『民主主義の死に方』) 「民主主義の長い歴史を学ぶために……この魅力的なは最良の選択肢だ」 ダロン・アセモグル(MIT教授|『国家はなぜ衰退するのか』) 「刺激的な説得力が、書の魅力の一つだ」 『エコノミスト』誌 「わたしたちが今どこにいて、これからどこへ向かうのかを理解するためには、視界を広げてデモクラシーのディープ・ヒストリー deep history に目を向ける必要がある……わたしが疑問に思ったのは、なぜヨーロッパは中国や中東と比べて根的に異なる政治軌道をたどってきたのか、ということだった……皮肉なことだが、ヨーロッパの後進性こそが、近代デモクラシーの起こる基盤となったのである……」(文より) ニューロン族や中央アフリカなどの初期デモクラシー(民主)を、古代中国、メソポタミア、ア

  • フォルモサ・イデオロギー | 台湾ナショナリズムの勃興 1895-1945 | みすず書房

    17世紀以来の漢族系移民の入植地であり、清帝国の省であった台湾は、日清戦争後に日へ割譲され、51年にわたりその植民地支配下に置かれた。書は、植民地台湾において、ナショナリストたちがいかにしてその空間を自らのネーションとして想像するにいたったのか、それがなぜ祖国復帰を目指す中国ナショナリズムではなく「台湾ナショナリズム」として発展したのかを、その領域的基盤の形成とイデオロギー形成の両面から論じるものである。 日の植民地主義は、地理的、人種的、文化的に近接する人々を支配し、国民的共同体に従属的に包摂することを目指すものであった。西洋への反動として生じた明治以来の日の国民国家形成の延長であったそれは、西洋によって再び植民地化されることへの恐怖に囚われていたがために、植民地臣民に同化を迫りつつも、差異を保ち、自らの優越性を維持する必要があった。それは、類似性と差異性を恣意的に操作し、周縁の

  • 日本のルィセンコ論争【新版】 | みすず書房

    かつて、非科学的な遺伝学説が日の生物学界を席捲し、科学は機能不全に陥った。書は日の生物学史の暗黒期の記録であり、科学と政治の緊張関係や捏造事件について考える時、必ず振り返られるべき書である。 ソ連の生物学者ルィセンコは、1930年代に「春化処理」によって農作物を増産できると主張した。この理論は実験による検証を経ないままスターリン政権に採用され、理論に批判的な生物学者への弾圧を招き、のちに農業生産に大損害をもたらした。 日でも同様の混乱が起きたことは語られなくなって久しい。書は、日でルィセンコ理論が台頭していった過程を、当時の科学者たちの問題意識や議論を精緻に追うことで描きだす。日でこの理論が紹介された当初は、新学説を科学的に検証しようという態度が支持派反対派双方に見られたという。しかし議論は次第に思想論争へと変質していく。ルィセンコ理論は戦後の農業改革運動が失敗するまで暴走し

    日本のルィセンコ論争【新版】 | みすず書房
    judgeer
    judgeer 2023/11/27
  • ハーマン『心的外傷と回復』増補新版 2023年10月刊行予定

    ジュディス・L・ハーマン『心的外傷と回復』(初版1996年、増補版1999年)は、これまで多くの読者を得て、版を重ねてきました。 このたび、原著の改訂にともない、邦訳版も原著最新版にもとづいた「増補新版」を刊行する準備を進めています。 刊行時期 2023年10月予定 増補新版の変更点 下記内容の追加 「あとがき 心的外傷の弁証法は続いている(2015)」 「エピローグ(2022)」 (原書で50数頁の追加になります) 現行版の「付・外傷の弁証法は続いている」は2015年版のあとがき追加にともない削除します。 今回新たに追加する箇所の翻訳者は、精神科医の阿部大樹さんです。 全体を新たに組みなおし、これまでのA5判から四六判に変更します。 今年1月にNHK「100分deフェミニズム」で教育学者・上間陽子さんによる書の紹介がおおきな反響を呼んだこともあり、現在、各書店および小社の在庫は僅少の状

    ハーマン『心的外傷と回復』増補新版 2023年10月刊行予定
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    judgeer 2023/10/10
  • 資本とイデオロギー | みすず書房

    ベストセラー『21世紀の資』を発展継承する超大作、ついに邦訳。《財産主義》という視点から、三機能社会、奴隷制社会、フランス革命、植民地支配から現代のハイパー資主義まで、巨大なスケールで世界史をたどり、イデオロギーと格差の関係を明らかにする。さらには《バラモン左翼》と《商人右翼》の連合に囚われつつある現代民主政治を分析。労働者の企業統治参画と累進年次資産税など、新たな公正な経済システムを提示する。 序文と謝辞 はじめに イデオロギーとは何か/境界と財産/イデオロギーを気で考える/集合的な学習と社会科学/書で使った情報源――各種の格差とイデオロギー/人間の進歩、格差の復活、世界の多様性/格差の復活――最初の方向性/エレファントカーブ――グローバル化をめぐる冷静な議論/極端な格差の正当化について/歴史から学ぶ――20世紀の教訓/イデオロギーの凍結と新しい教育格差/複数エリートの復活と平等

    資本とイデオロギー | みすず書房
  • 沖縄の生活史 | みすず書房

    沖縄県で発行されている日刊紙を発行する新聞社。戦時中の唯一の新聞「沖縄新報」の編集同人を中心に1948年7月1日、那覇市で創刊。「鉄の暴風」と表現された熾烈な沖縄戦など戦争の反省に立ち、県民とともに平和希求の沖縄再建を目指したのが出発点になった。27年間に及んだ米軍統治下では自治権の拡大や復帰運動で、住民の立場から主張を展開した。1972年の日復帰後も、在日米軍専用施設面積の7割以上が沖縄に集中することによる過重負担や、基地があるゆえに起きる事件・事故、騒音などの被害、日米地位協定の問題などを追及する。また、県民生活に寄り添い、子どもの貧困問題の解決などに向けた論陣を張る。2023年に創刊75年を迎えた。 1941年、台湾宜蘭市生まれ、沖縄県那覇市首里出身。沖縄国際大学名誉教授。沖縄の生活史、戦争体験などの研究。主著は『虐殺の島――皇軍と臣民の末路』(晩聲社、1978)。『大密貿易の時代

    沖縄の生活史 | みすず書房
  • ゾルゲ伝 | スターリンのマスター・エージェント | みすず書房

    スパイ小説の母国イギリス発、欧米圏でベストセラーになった稀代のスパイの伝記である。英独日露の新資料を駆使して、歴史的事実だけでなくリヒアルト・ゾルゲと彼をめぐる多くの人々の人間性にも迫る。 第一次世界大戦でドイツ軍に志願入隊、三度負傷したゾルゲは、病院のベッドの上でこの戦争の原因について考えた。除隊後、共産党に入党し、炭坑で活動しながらドイツ革命に加わり、コミンテルンからリクルートされる。 赤軍参謀部情報部の諜報員として上海をへて1933年東京へ。駐日ドイツ大使オットの親友のジャーナリストとして大使館内にデスクを持ち、同時に元朝日新聞記者・近衛内閣嘱託の尾崎秀実を中心にした日人諜報網を形成。ゾルゲは日独の最重要機密を入手しては、モスクワに打電した。 機密情報を携え満州に亡命したソ連秘密警察幹部。第二次世界大戦の結末に大きく影響したノモンハン事件ドイツのソ連侵攻の裏で、ソ連もドイツ

    ゾルゲ伝 | スターリンのマスター・エージェント | みすず書房
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    judgeer 2023/05/15
  • 心理学の7つの大罪 | 真の科学であるために私たちがすべきこと | みすず書房

    「もしもいま私たちが警告の印を無視してしまったなら、100年以内に、あるいはもっと早く、心理学は古臭い学問趣味の一つと見なされることになるかもしれない。ちょうど私たちがいま錬金術や骨相学をそう見るのと同じように」 STAP細胞問題で衆目を集めたデータの捏造・改竄による不正行為は、心理学にとってもけっして対岸の火事ではない。顕著な有意差のある研究結果への偏重、実験データの私物化、不正行為への脆さ、論文のでたらめな評価尺度……。著者は自らの研究者生活を通じて見えてきた、心理学の研究文化に根づく「7つの大罪」を暴き出す。 悪しき慣習に堪えかねた著者は、国際的学術誌『コーテックス』の編集委員になると、すぐに新たなシステム作りに着手する。研究発表の「事前登録制度」である。書はその挑戦の軌跡とともに、伝統に固執し、変化に抵抗する研究者たちの姿をも克明に描くものである。 心理学が透明性と再現性を高め、

    心理学の7つの大罪 | 真の科学であるために私たちがすべきこと | みすず書房
  • 習慣と脳の科学 | どうしても変えられないのはどうしてか | みすず書房

    書は、悪い習慣を直すための「簡単なコツ」を紹介したりするものではない。むしろ、他ので紹介されている習慣を変えるための魔法のような解決策のほとんどが、物の科学の前では意味をなさなくなることを明らかにしていく。……行動を変えやすくするための、科学的な裏付けのあるアイデアも得られるはずだ」(文より) 過やスマートフォンの使いすぎから、飲酒や喫煙、果ては依存性のある薬物の使用まで、一度習慣づいた行動をやめたくてもやめられずにいる人は多い。一方私たちは、交通ルールや道具の使い方、毎日のルーチンなどが習慣になっているおかげで、いちいち立ち止まって考えずに行動できている。書では、こうした習慣のありようを最新の科学的知見に基づいて定義づけ、その詳細に立ち入っていく。 全二部構成の第I部では、習慣的行動の性質やその形成メカニズムを脳神経科学や心理学に基づいて解説する。第Ⅱ部では、習慣を変えるた

    習慣と脳の科学 | どうしても変えられないのはどうしてか | みすず書房
  • 帝国の虜囚 | 日本軍捕虜収容所の現実 | みすず書房

    アジア・太平洋戦争中、日軍は戦地で捕らえた連合国の捕虜を一貫して虐待したというのが、今日でも欧米の共通理解となっている。映画『戦場にかける橋』や『不屈の男 アンブロークン』などにも見られるそうしたイメージは、どこまで現実を反映しているのだろうか? 1941年12月の真珠湾攻撃とマレー半島上陸から5カ月のうちに、日軍は14万人以上の連合軍兵士と13万人の民間人を捕虜にし、満洲からジャワまで各地に急造した700カ所以上の収容所に収容した。混乱のなかで米兵捕虜の約4割が命を落とし、収容所で死亡したオーストラリア兵捕虜の数は、戦場の戦死者よりも多かった。 日研究者である著者は、明治維新以降の歴史を精緻に踏まえつつ、シンガポール、フィリピン、朝鮮、福岡など特徴的な収容所を選んで捕虜たちが残した記録や証言にあたり、かれらの置かれた状況を立体的に再現する。日側と捕虜側双方の人種偏見、朝鮮や台湾

    帝国の虜囚 | 日本軍捕虜収容所の現実 | みすず書房
  • G・ティヨン『イトコたちの共和国』 | トピックス : みすず書房

    地中海社会の親族関係と女性の抑圧 宮治美江子訳 女性差別か、信仰の自由か。「ヴェール問題」は従来、イスラームと市民社会の葛藤という文脈から論じられてきた。しかし、ヴェールに象徴される女性隔離の根っこは、イスラームではなく、ヨーロッパも含む地中海世界にある。しかも、分離の規則を決めるのは宗教ではなく、親族構造である。そう『イトコたちの共和国』は論じて、民族学に衝撃を与えた。 「イトコたちの共和国」と名付けられた地中海社会の特徴とは、近親婚も回避しないほどの内婚制への志向である。書ではこの「共和国」の謎が、豊富なフィールド経験をもとに解き明かされていく。 内婚制では純血が高貴さにつながるため、処女性が過度に重視される。規則を破った娘には残酷な罰が待ちうけている。こうして父や兄による娘の殺人が正当化されてしまうのだ。イスラーム、キリスト教を問わず復讐の制度は執拗に残り、たとえばコルシカでは兄に

  • 誰も正常ではない | スティグマは作られ、作り変えられる | みすず書房

    正常・異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだし、それはコミュニティを通して社会的・文化的に学習されてきた。書はおもに精神疾患や発達障害のスティグマを中心に、スティグマが構築と再構築を重ねてきた変遷の力学を、18世紀以降、複数の戦時期を経て、高度に経済化した今日の社会に至るまでたどる。 しかし、だからこそスティグマとは質的に、私たちの手で流れを変えうる「プロセス」であると著者は言う。汚辱や秘匿がいまだに残っている一方で、もはや「誰も正常ではない」と言えるほど、正常者・異常者を語るスティグマはその足場を失い、心身の障害を人間の多様性の一部として受け容れる潮流こそが勢いを集めつつある。 資主義、戦争、身体‐心という三の軸に沿って、書は構成されている。著者は文化人類学者ならではの視点で、近年の「生物医

    誰も正常ではない | スティグマは作られ、作り変えられる | みすず書房
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    judgeer 2022/07/19
  • 自由の国と感染症 | 法制度が映すアメリカのイデオロギー | みすず書房

    「この分析で重要な点は、政治制度の質と公衆衛生の成果の間に単純な相関関係はないことである。望ましい政治的・経済的成果をもたらすと考えられている政治制度の中には、公衆衛生を妨げるものもあれば、逆に促すものもある」(序文) ワクチン接種義務や検疫のように個人や商業の自由を大きく制限する措置は、合衆国憲法の規定のもとではさまざまな軋轢を生んだ。一方、上下水道システムが充実して公衆衛生が大きく改善されたのは、合衆国憲法が私有財産権を保障して信用市場の安定を促したためだった。公衆衛生とはこのように、国家構造を規定するイデオロギーや市民の選好が互いに影響を及ぼしあった結果である。 書では、天然痘・腸チフス・黄熱病という三つの感染症の事例について、アメリカの法制度との関係を中心に精緻に考察する。ハミルトンら合衆国憲法の起草者たちが各条項に込めたイデオロギーはどのようなものであったか。トクヴィルはアメリ

    自由の国と感染症 | 法制度が映すアメリカのイデオロギー | みすず書房
  • 給料はあなたの価値なのか | 賃金と経済にまつわる神話を解く | みすず書房

    私たちが労働の対価として受けとる給料。では、その額は、あなたの市場価値の反映なのだろうか? 私たちはみずからの生産性と職種によって、給料の額は客観的に決まると考えがちだ。だが、果たしてそれは当だろうか? ならば、弁護士のほうが教師より価値ある仕事なのか? 警官や大学教授、記者の仕事を公平な基準で正しく評価できるのだろうか? じつは、多くの人が「誰がいくらをなぜもらうのか」を知らないまま、神話にとらわれていると著者は述べる。 書は、アメリカの社会学者がさまざまな企業・業界の実態調査に基づき、常識への反論を試みる書である。給料を決定する4つの要因(「権力」「慣性」「模倣」「公平性」)を手がかりに広く信じられている誤解を解き、給料を上げるための方策と真に公平な賃金制度への道筋を示す。コロナ危機を踏まえた「エピローグ」を収録。 パート1 給与についての疑問 第1章 何が給与を決めるのか? 権力

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    judgeer 2022/05/09
  • ワクチンの噂 | どう広まり、なぜいつまでも消えないのか | みすず書房

    〈私は、噂の重要性を次のように見ている。すなわち、公的な情報源から提供されない場合に答えを求める手段、不確かなリスクに直面したときに集団で意味づけをする手段、公的な経路ではまだ認識されていない予見できないリスクについての新情報を伝える合図としての重要性である〉 「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンを打つと自閉症になる」――。予防接種という世界的なプロジェクトの誕生以来、私たちはワクチンをめぐって常に噂やデマに翻弄されつづけてきた。 それらの噂やデマは単に街の噂話から立ち上り拡散されていくのでなく、時の政権やエリートへの不信感のなかに、そして宗教的指導者や科学者の発言のなかに火種が隠されていることもある。さらに、ソーシャルメディアに慣れ親しんだ今日の私たちは、容易に噂のパンデミックに曝される危機に陥っているのだ。 ワクチンをめぐる噂やデマはどのように生まれ、どう広まり、なぜ疑いようのない

    ワクチンの噂 | どう広まり、なぜいつまでも消えないのか | みすず書房
  • 進化の技法 | 転用と盗用と争いの40億年 | みすず書房

    生物は進化しうる。ではその過程で、生物の体内で何が起きているのだろうか。この問いの答えは、ダーウィンの『種の起源』の刊行後、現在まで増え続けている。生物は実にさまざまな「進化の技法」を備えているのだ。 『種の起源』が発表されると、人々は世界中の現生の生物や化石に進化の実例を求め、観察し始めた。そしてさまざまな生物の胚、変態、奇形の個体、染色体を見つめるうちに、飛躍的な進化を起こすからくりを少しずつ見出していく。たとえば生物の体内では、新たな機能の発明よりも、既存の機能の転用がたびたび起きている。DNA内では、侵入してきたウイルスの遺伝子を宿主が奪ったり、破壊と革新をもたらす遺伝子が跳び回ったりしているのだ。 書は、世界中を探検し、化石を探し、顕微鏡を覗きこみ、生物を何世代も飼育し、膨大なDNA配列に向き合い、学会や雑誌上で論争を繰り広げてきた研究者たちへの賛歌でもある。 歴代の科学者と共

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  • 精霊に捕まって倒れる | 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突 | みすず書房

    生死がせめぎ合う医療という場における異文化へのまなざしの重さを、感性豊かに、痛切に物語る傑作ノンフィクション。 ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子、リア・リーが、てんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれてくる。しかし幼少のリアを支える両親と病院スタッフの間には、文化の違いや言語の壁ゆえの行き違いが積もってしまう。 モン族の家族の側にも医師たちの側にも、少女を救おうとする渾身の努力があった。だが両者の認識は、ことごとく衝突していた。相互の疑心は膨れ上がり、そして──。 著者は、医師たちが「愚鈍で感情に乏しい、寡黙」と評したリアの両親やモンの人びとから生き生きとした生活と文化の語りを引き出し、モン族の視点で見た事の経緯を浮かび上がらせる。その一方で医師たちからもこまやかな聞き取りを重ね、現代的な医療文化と、それが医療従事者に課している責務や意識が、リアの経過にどう関わって

    精霊に捕まって倒れる | 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突 | みすず書房
  • レーナの日記 | レニングラード包囲戦を生きた少女 | みすず書房

    1941年9月、ナチス・ドイツ軍は250万の市民が暮らすレニングラードの包囲を完了した。料と燃料の供給が断たれ、冬が迫り、飢餓が始まる。人々は犬やスープにし、革ベルトやコートの毛皮、イラクサを煮てべた。包囲は872日間におよび、80万人以上が犠牲となった。 「日記よ、わたしの悲しみを大切にしまっておいて」16歳のレーナは腹いっぱいべることを夢見ながら、日記を書きつづける。 最後の平和な学校生活と開戦後の日々。砲撃の恐怖、事の記録、読書、恋、未来への希望。そして母の餓死によって、レーナはひとり残された。 配給のパンを求めて街を駆けまわる。レーナは恐ろしい不安な日々に、べ物と言葉にしがみつくことで生きのびていく。 空腹と孤独の底で、動物学者になる将来の夢をつむいだ。100グラムのパンと交換で子ネズミを手にいれて飼い、べ物はすべて分け合おう。亡きママたちへの愛情を小さな生きものに

    レーナの日記 | レニングラード包囲戦を生きた少女 | みすず書房
  • 資本主義だけ残った | 世界を制するシステムの未来 | みすず書房

    「理論、データ、歴史、批判的思考――社会科学の頂点のひとつがここにある。格差は誰かのせいでも、ましてや自分のせいでもない。それは資主義のシステムにあるのだ」 吉田徹(同志社大学教授) 『エコノミスト』誌ベストブック 『フィナンシャルタイムズ』紙ベストブック 『フォーリン・アフェアーズ』誌ベストブック 『プロマーケット』誌ベストブック 『プロスペクト』誌ベストブック 「われわれの未来についての、重要な問題をすべて提示している」ゴードン・ブラウン(元英首相) 「経済統計の第一人者[による]豊かな議論だ」ジェームズ・K・ガルブレイス(テキサス大学オースティン校教授) 「北京に住むのか、ニューヨークに住むのか、決断のときは近づいている」エドワード・ルース(『フィナンシャル・タイムズ』紙) 「この二つの資主義が世界情勢を支配している。両者の共進化が今後数十年の歴史を形成することになるだろう」『エ

    資本主義だけ残った | 世界を制するシステムの未来 | みすず書房