【読売新聞】 【ロンドン=池田慶太】バルト海に面するロシアの飛び地、カリーニングラード周辺で緊張が高まっている。リトアニアが自国を経由する対露制裁の対象物資の鉄道輸送を止めた問題を巡り、ロシアが猛反発しているためだ。対立が欧州全体に
イスラエルのベネット政権が6月20日崩壊した。10月にもこの3年半で5回目の総選挙が実施される見通しだが、刑事被告人ながら復権を虎視眈々と狙っているネタニヤフ前首相が政権奪取に意欲を示し、政治が混迷するのは確実な状況。イランの核脅威が高まっている中での政権交代となり、イスラエルの内憂外患は一段と深まりそうだ。 〝ガラスの連合〟の当然の帰結 元々ベネット連立政権は〝ガラスの連合〟。いつ瓦解しても不思議ではなく、当然の成り行きだった。むしろ発足から1年、「よくここまでもった」というのが一般的な見方だ。というのも、同政権はイスラエル政界を牛耳ってきたネタニヤフ氏を追い落とすため、極右からアラブ人の少数政党まで8党を包含した寄せ集めの連立でしかなかったからだ。 政権崩壊の直接の要因はパレスチナ政策やユダヤ人入植地問題をめぐって保守系の2議員が連立を離脱したからだ。今後は連立政権発足時の合意に基づき
スリランカは5月、債務不履行に陥った。国際通貨基金(IMF)の見積もりによれば、スリランカの債務総額は2018年の国内総生産(GDP)比91%から21年にはGDP比119%に上昇したと見られる。 ラジャパクサ政権は事態をコントール出来ているという振りをしていた。外貨準備が枯渇しつつある状況にあって(5000万ドル程度に低下)、ルピーを防衛し、対外債務(500億ドル)の元利支払いを続けた。 ドルを節約するために肥料の輸入を止めたが、有機農業の促進のためだと偽装した――しかし、生産高が急落するに及んで廃止せざるを得なくなった。ウクライナの戦争が最後の一撃となった――輸入する石油と食料の価格を押し上げ、外貨準備の不足のために配給制を導入することになった。インドの30億ドルを超える財政的支援を得て食いつないで来たようであるが、万策尽きることになった。 経済混乱の責任を取る形で、5月9日に首相のマヒ
2021年11月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、13年ぶりとなる宇宙飛行士候補の募集を開始した。初めて「文系の応募」を可能にし、女性の応募を促すなど、多様な人材を確保する姿勢を前面に打ち出して、前回、08年の4倍以上、4127人の応募を得た。 折しも宇宙が多くの人々に開かれつつある時代だ。米国では、民間宇宙企業が提供する旅行で、90歳以上の高齢者、障害があるがんサバイバーなどが宇宙飛行を経験した。欧州宇宙機関(ESA)では、21年、障害のある人を職業宇宙飛行士として養成する「パラストロノート(parastronaut)」計画が始まった。JAXAの「多様性」の取り組みも、広い意味ではこの流れに棹さしているのだろう。 ところが、今回の募集要項にある応募資格の一部に、「多様性の確保」とは逆行する部分がある。それは、色を感じ、見分ける能力、「色覚」の項目だ。08年の募集ではただ「正常」が求め
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会は23日まで3日間開催した拡大会議で、朝鮮人民軍の前線部隊の作戦任務に「重要軍事行動計画」を追加することを決定した。抑止力の拡大、強化に向けた重大問題も審議し、軍事組織の再編案が承認された。北朝鮮メディアが24日に報じた。 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は会議で、軍事力を強化する「実践行動指針」が策定されたと明らかにし、「いかなる敵にも圧勝する強力な自衛力を整え、祖国の尊厳を守るべきだ」と強調した。 新たな軍事行動計画の内容は伝えられなかったが、韓国を狙った戦術核兵器を運用する任務を前線部隊に与えた可能性がある。金氏は昨年1月の党大会で戦術核兵器の開発に言及。北朝鮮は今年4月に「新型戦術誘導兵器」と称する短距離弾道ミサイルの発射実験を行った際、前線部隊の攻撃力や戦術核運用の効果を高めるものだとし、戦術核の前線配備を示唆していた。 北朝鮮
ウクライナに侵攻したロシアと、軍事同盟を結ぶ中央アジアの旧ソ連構成国カザフスタンの間にすきま風が吹いている。カザフのトカエフ大統領は17日、ロシアが侵攻に先立って「国家」承認したウクライナ東部の親露派支配地域をカザフが国家承認しないと表明。トカエフ氏がロシアからの勲章授与を拒否した、とも伝えられた。露与党幹部からは、カザフもウクライナと同じ運命をたどる-と脅迫じみた発言も飛び出した。 トカエフ氏は17日、露北西部サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの全体会合にプーチン露大統領と2人で出席。質疑応答で、ロシアが国家承認した親露派武装勢力「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」(自称)をカザフは正式な国家とみなしていない-とし、承認しない考えを示した。 「カザフは開かれた市民社会で、国民には特別軍事作戦(侵攻の露側呼称)への多様な意見がある」とも指摘。露メディアは、国民の侵攻
平城宮跡を横切ることでも知られる近鉄奈良線=奈良市来春の運賃値上げを国土交通相に申請した近畿日本鉄道を、沿線自治体の一つである奈良県が非難している。「多大な県民負担が生じる」と同県は主張し、国交省運輸審議会の公聴会が7月に開かれることになった。自ら出席する意向の荒井正吾知事は対決姿勢をみせている。公聴会を単なるガス抜きの場ではなく、実のある議論を導き出す機会にできるだろうか。 公聴会の開催は奈良県が要請した。根拠としたのは、近鉄が申請通り平均17・0%値上げすれば、県民の負担増は年間約60億円になるとの試算だ。荒井知事は県庁での記者会見で「地域との共存共栄の観点が運賃値上げの際には入ってくるべきだ」と主張した。 奈良県が準備した公述書には辛辣(しんらつ)な文言が並ぶ。
今年3月、ブリュッセルでのG7首脳会議を前に、バイデン米大統領(中央)やショルツ独首相(右)と歓談する岸田文雄首相(ロイター)欧州では最近、日本への関心がびっくりするほど高い。ロシアのウクライナ侵攻で、欧州でも「台湾有事への対応」が真剣に論じられるようになったからだ。 先日、仏外交シンクタンクが開いた討論会をのぞくと、アジア研究者や国防関係者が「台湾海峡が封鎖されたら、日米同盟はどう動くか」「日欧にできる連携とは」を語り合っていた。 岸田文雄首相は、防衛費の「相当な増額」を表明した。少し前なら、欧州メディアは「東アジアの緊張を高める」と一斉に書き立てただろう。今は、警戒論が全く聞こえてこない。
経済財政諮問会議、新しい資本主義実現会議の合同会議で発言する岸田文雄首相=7日、首相官邸(矢島康弘撮影)「骨太方針2022」が閣議決定された。岸田文雄内閣として初の経済財政運営と改革の基本方針になる。現内閣では新しい資本主義実現会議、デジタル田園都市実現会議、デジタル臨調など複数の会議が設けられ、それぞれの報告書が示されているがその中核になるのが骨太方針だ。 「概念整理型」の骨太報道の多くは財政均衡派とリフレ派の対立に焦点を当てた。確かにこの問題で自民党の政調会が3度も開かれ激しい議論が行われた。しかしこれは経済論争もさることながら政治グループの勢力争いという面が強かったろう。結果的に双方ともほぼ勝利宣言のような言い振りをしている。しかし筆者らが第1回の骨太方針(2001年)を作成した際、「財政健全化」を目指す一方で、必要に応じ「柔軟かつ大胆な政策運営」を行うことを併記したのと、実質的に大
沖縄県糸満市の平和祈念公園を訪れた岸田首相(中央)=23日午前岸田文雄首相(自民党総裁)は参院選期間中の26日から30日まで、先進7カ国首脳会議(G7サミット)と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席のため日本を離れる。選挙中の首相の長期外遊は異例。政府内には慎重論もあったが、ウクライナ危機に加え、中国や北朝鮮の脅威が高まる中、首相が出席を決めた。外交面の成果が参院選にプラスになるとの見方が後押しした。 首相は25日に山梨県などで応援演説を行った後、26日未明にG7サミットが行われるドイツに向けて出発する。G7に続いて、スペインでNATO首脳会議に出席し、30日午後に帰国する予定だ。翌7月1日は選挙応援のため沖縄入りなどを検討している。 政府は日本もメンバーであるG7と異なり、NATO首脳会議への出席は5月下旬まで判断しかねていた。NATO側が出席を呼びかけ、首相自身も意欲を見せていた
「まず必要な防衛力を用意する中で必要な予算が見えてくる。その予算額によって財源も考えていかなければいけない。この3点はセットで議論をしていく」 参院選公示を翌日に控えた21日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、防衛費増額の財源について岸田文雄首相(自民党総裁)はこう述べた。財源論を回避しようとする首相の答えに、質問を重ねたベテラン記者は「分かるようで分からない」と首をかしげた。 自民公約は防衛費について、北大西洋条約機構(NATO)が基準とする国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に置くことを明示する。すかさず立憲民主党の泉健太代表は「党内と相当違うことを言っている。総額ありきでないとなれば、わが党にだいぶ近づいてくる」と揶揄(やゆ)した。
会見する岸田文雄首相=15日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で4カ月となった。プーチン大統領は、世界第2位の軍事力を誇るロシア軍なら短期決戦で終えられると高をくくっていたが、現実は違った。それを阻んだウクライナの抵抗は、欧米諸国による武器・弾薬をはじめとした強力な物的支援が支えてきた。 その意味では岸田文雄首相が「厳しい対ロシア制裁を科すとともに、ウクライナ等への支援に全力を挙げている」というのは正しい。だが、それだけではあるまい。ウクライナの死闘の根底に何があるか。それは「自分たちの国を守りぬく」というゼレンスキー大統領をはじめとするウクライナ人の気概であり、決して軽視できないものだ。 ウクライナではロシアの侵攻後、18~60歳男性の徴兵を可能にする総動員令が発令された。だが、現地の交流サイト(SNS)には男性だけでなく若い女性も武器を手にロシア軍への抵
【読売新聞】 刑務所に入った人が罪を自覚し、再び犯罪を起こさないようにすることが大事だ。受刑者の更生に向け、指導や教育を強化する必要がある。 懲役刑と禁錮刑を一元化して、「拘禁刑」を新設する改正刑法が成立した。2025年に施行される
【読売新聞】 国際情勢も日本の経済社会も、大きな変動期にある。国の行方を左右する大事な機会だ。公約や主張を見極めて、誤りなき選択をしたい。 参院選が公示された。改選定数(124議席)と、神奈川選挙区の欠員1の125議席を争う選挙戦に
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