【読売新聞】 【ロンドン=池田慶太】先月就任したばかりの英国のリズ・トラス首相(47)は20日、辞任の意向を表明した。看板政策の大型減税が金融市場の混乱を招いた末に撤回に追い込まれ、閣僚の解任や辞任が相次ぐなど、政権の混迷が続いてい
自身を中傷する複数のツイッター投稿に「いいね」を押され、名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。石井浩裁判長は、請求を棄却した1審東京地裁判決を変更し、杉田氏に55万円の賠償を命じた。原告側によると、「いいね」を押す行為が不法行為に当たると判断されたのは初めて。 判決後に東京都内で会見した伊藤さんは「指先ひとつでできる行為が、誹謗(ひぼう)中傷になると認めた画期的な判決だ」と評価。杉田氏は「判決内容を精査して対応を検討する」としている。 判決理由で石井裁判長は、「いいね」を押す行為が名誉感情の侵害に当たるかは、押した人と対象者との関係などを検討する必要があると指摘。杉田氏は伊藤さんへの批判を繰り返しており、誹謗中傷の投稿に賛意を示すために押したと認定した。 その上で、ツ
日豪首脳会談を前に握手する岸田文雄首相(右)とオーストラリアのアルバニージー首相=9月27日、東京・元赤坂の迎賓館この国は1972年、突如、中国との国交正常化を断行した。戦後は一貫して軽武装による経済成長を追求した。米国との同盟関係を重視しつつ、中国とも経済関係拡大を目指す「是々非々」外交を維持してきた。他方、最近は対中関係が急速に悪化し、中国の「力による現状変更」政策を厳しく批判し始めている。これって日本のことか? 否(いな)、答えは豪州・オーストラリアである。 というわけで今回の原稿は未明の豪州シドニーで書いている。恥ずかしながら、首都キャンベラは今回初めての訪問だったが、日豪関係の深化を改めて実感するとともに、この関係が持つ戦略的意味を熟考する得難い機会となった。 変化しつつある豪州
9月上旬、台風11号の接近で不穏な空模様のなか、長崎県平戸市春日町を訪ねた。平戸島の西岸にある小さな集落だ。寺田一男さん(72)が、子供のころの祖父との思い出を語る。 「毎年正月、中江ノ島が見えるところで、延々とお祈りをするのに連れて行かれました。大事な信仰だと思うがとにかく寒かった」 中江ノ島は集落の近くに浮かぶ無人の小島だ。江戸時代初期に棄教を拒んだ多くのキリシタンが処刑され、信者から聖地とされてきた。かくれキリシタンの熱心な信者だった祖父は、オラショと呼ばれる祈りを唱えていたのだ。春日と中江ノ島は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に含まれている。 中江ノ島の写真を手に祖父の思い出を話す寺田一男さん=長崎県平戸市中江ノ島で処刑されたヨハネ次郎右衛門は島に向かう船で、こう語ったと伝わる。「ここから天国は、もうそう遠くない」。命を捨てるほどの信仰とはどんなものか、想像することはと
強い潮流の中、右側に大きく傾いて着底する米海軍の「エモンズ」。前甲板の一番、二番砲塔は沈没時のまま(9月26日午前、沖縄県古宇利島沖、いずれも筆者撮影)沖縄本島北部、今帰仁村にある古宇利島の沖合、水深46mの海底。先の大戦で5機もの日本軍機の特攻を受けて沈んだ米海軍高速掃海艦「エモンズ」が、特攻機の残骸とともに眠っている。「特攻を行った側と受けた側の双方が戦跡として残っている稀有(けう)な例」(知覧特攻平和会館・八巻聡学芸員)で、上級者向けのダイビングスポット、さらには水中慰霊の場としても注目を集めているが、戦後77年を経て、船体の劣化が進み崩壊が危ぶまれる。水中の「もの言わぬ戦争の証人」の保全のあり方が問われている。 特攻の瞬間をいまに
14日、ロンドンのナショナル・ギャラリーでゴッホの絵画「ひまわり」に液体をかけた環境活動家2人(英PA通信=共同)先日、英国の美術館で起きた事件に世界中が驚いた。ゴッホの代表作である「ひまわり」に環境保護団体のメンバーがトマトスープを投げつけたのだ。何故(なにゆえ)に環境保護団体がゴッホの作品を襲ったのか。逮捕された容疑者は「絵画の保護と地球や人類の保護と、どちらが重要なのか!」などと叫んだようだが、全くもって理解に苦しむ。環境問題を理由に行われるサボタージュの一環なのだろうが、これは「エコ・テロリズム」だ。 エコ・テロリズムで思い出すのは、反捕鯨団体のシー・シェパード。1977年に設立され、アイスランドやノルウェーの捕鯨船に体当たりを始め、何隻もの捕鯨船を沈没させた。その後、日本の調査捕鯨船にも体当たりを始める。ワイヤを流してスクリューに巻き付かせ運航を妨げた上、捕鯨船に向かって信号弾や
連合が来年の春闘交渉に向け、「5%程度の賃上げ」を要求する方針を打ち出す見通しだ。これまでは7年連続で「4%程度の賃上げ」を求めてきたが、物価高による家計負担を考慮し、より高い水準の賃上げ要求を掲げる。 ただ、労使交渉の結果、実際の賃上げ率はここ数年、2%前後で推移しており、労組側の要求は押さえ込まれてきた格好だ。物価高の影響をなるべく軽減するためにも着実な賃上げが欠かせない。 とくに春闘では、従業員の基本給を一律で引き上げるベースアップ(ベア)の確保が一段と重要になる。働く人の給料が目に見える形で増える賃上げを実現するため、労使双方が全力を挙げてもらいたい。それが日本経済の底上げにもつながる。 連合は来年の春闘でベア分を3%程度、定期昇給(定昇)分を含めて合計5%程度の賃上げを要求する方針を固めた。連合がベアを求めるのは10年連続となる。12月に開催する予定の中央委員会で正式決定する。
東京工業大と東京医科歯科大が令和6年度をめどに、1つの大学に統合することを決めた。 両学長は記者会見で、「さまざまな学術分野を融合し、世界最高水準の研究を展開する」と語った。言葉通り世界に誇る教育・研究につなげる改革を断行してほしい。 新大学名は未定で公募する案がある。共同の研究拠点として新キャンパス構想もある。 国立大では、名古屋大と岐阜大のように各大学名を残したまま、運営する法人を統合する「アンブレラ方式」はあった。今回のような1法人1大学への統合は、関係者の合意などハードルが高いとされてきた。それだけに世界に後れを取る日本の研究環境への危機感と改革意欲の表れとみたい。 会見では「国際的に学生、研究者、教員を引きつけられる大学にしたい」との言葉もあった。両大学にとどまらず、日本の研究環境が世界から人材を集める魅力のない裏返しだ。世界で引用され影響力ある論文数の減少など、研究力低下が指摘
先月、テキサス州サンアントニオ郊外のサザーランドスプリングスにあるバプテスト教会を訪ねた。2017年11月、乱入した男が礼拝中の26人を銃で殺害。礼拝施設で最悪の銃乱射事件が起きた。その礼拝堂を、教会員のデビアさんが案内してくれた。 犠牲者がいた場所に一人一人の名を記した椅子が置かれていた。「クリスタル、娘のエミリー、クリスタルのおなかにいた赤ちゃん」。10歳から教会で育ったデビアさんが声をつまらせた。「私も妊婦だった」 日曜の朝、自家用トラックが故障した。夫はテネシーに出張中。デビアさんは身重の体に負担になるタイヤ交換を諦め、子供と礼拝を休んだ。「生きているのは偶然」 元軍人の犯人は約11分間の銃撃の後、武装して駆けつけた近所の男性と交戦し負傷。逃走の末、車内で自殺した。「銃を持った者が人の命を救った」。デビアさんは米国憲法修正第2条(銃を所持する権利)を「自分たちを守るために、とても大
東京地裁立川支部新型コロナウイルス禍で大学がとった対応は妥当だったのか-。感染拡大後、入学したばかりの大学で対面授業を1年間受けられなかったなどとして、元学生の男性が大学側に損害賠償を求めた訴訟は19日、東京地裁立川支部が男性の訴えを退けた。判決ではコロナ禍でのオンラインの遠隔授業を「合理的な選択肢」と認定。男性は「対面授業に相当する教育的効果はない」とも訴えたが、司法が大学の自治を重視し、大学側の裁量権を広く認めた格好だ。 大学構内に入れず1年経過原告となったのは、令和2年4月に明星大(東京都日野市)に入学した男性(20)=今年3月に中退。入学直後に国内初の緊急事態宣言が東京都を含む7都府県に発令されると、大学側は学生の構内立ち入りを禁止した。
衆院予算委で質問する自民党の萩生田光一政調会長=10月17日午前、国会・衆院第1委員室(矢島康弘撮影)生来の天邪鬼(あまのじゃく)なせいか、多数派の意見や潮流にはつい逆らいたくなる。岸田文雄首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、宗教法人法に基づく調査を指示した件が話題だが、もっと優先すべき喫緊の課題があるのではないか。例えば、17日の衆院予算委員会で自民党の萩生田光一政調会長が質問した安全保障問題がそれである。 萩生田氏はまず、中国がわが国の排他的経済水域(EEZ)内に5発の弾道ミサイルを着弾させた問題や、北朝鮮がかつてない頻度でミサイル発射訓練を実施している件を取り上げ、抑止力について訴えた。 「こうした行為にただ抗議を繰り返すだけでは、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことはできない。必要なのは言葉ではなく抑止力だ。撃つなら撃つぞという能力を明確に示すことで、わが国へのミサイ
ロシアのプーチン大統領は19日、一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州に20日から戒厳令を導入する大統領令に署名した。ロシアはこれまでウクライナ侵略を「特別軍事作戦」と呼称してきたが、事実上、戦争状態であることを認めた形。露軍が東・南部の戦線で劣勢に立つ中、プーチン氏は4州が「自国領」だとし、防衛のためには核兵器の使用も辞さない姿勢を示すことで、ウクライナに反攻を断念させる思惑だとみられる。 背景に露軍の苦境タス通信によると、戒厳令下では国民の移動や通信の自由などが制限される上、国民は防衛のために必要な業務を命じられる可能性がある。プーチン氏はまた、4州の親露派勢力トップに「領土防衛」に必要な措置を講じる権限を与える大統領令にも署名した。 背景には露軍の苦境があるとみられる。これに先立ち、ロシアが併合を宣言した南部ヘルソン州の親露派勢力トップ、サリド首長代行は19日、ウクライナ軍の攻
上皇后さまは20日、88歳の米寿を迎えられた。代替わりに伴う一連のお引っ越しを経て今年4月、約30年ぶりに戻った赤坂御用地の仙洞(せんとう)御所では、上皇さまのご生活を最も近くで支える一方、社会の出来事に変わらず関心を寄せ、先の大戦や災害の犠牲者への慰霊の気持ちも示されている。 4月まで約2年間、仮住まいした高輪皇族邸では、近隣住民と交流を重ねられた。近所の保育園児から贈られたフウセンカズラの種を、仙洞御所でも大切に育てられているという。 新型コロナウイルス禍で外出を控えつつも、6月には沖縄の本土復帰50年に際し、都内で行われた2つの特別展に上皇さまと足を運ばれた。 8月に右足の「深部静脈血栓症」と診断されたが、体調に大きな変化はなく、上皇さまと朝夕の散策を続けられている。朝食後の音読も日課とし、最近はご夫妻共通の思い出のある、国民学校時代の国語の教科書をお読みに。新聞にも目を通し、興味深
期待値がいつしか客観的予測値にスリ替わり、「…であれば、こうなるはず」との楽観的見通しを積み重ねて、韓国型の夢、つまり「K未来予測」が出来上がる。それが実現しないと、「妨害した悪役」を仕立てて責任を逃れる。 仁川(インチョン)市の都市型リニア鉄道は、世界中に輸出されるはずだった。が、現実は国内需要すらない。消耗部品の供給もママならず廃業へのコースを進んでいる。だが、仁川市は叫ぶ。「新型コロナウイルスのせいだ」と。 「都市型リニア鉄道」と聞いて、時速300キロ超で疾走する列車を想像してはいけない。仁川国際空港と西海岸の観光地6キロを結ぶリニアは「磁気浮揚式車輪型」と呼ぶそうだ。設計上の最高速度は85キロだが、実際の運用は最高速度25キロ。1車両の定員135人…。輸送能力だけ見れば、都電・荒川線とドッコイだ。
韓国で覚醒剤、大麻など麻薬類の使用が急速に拡大している。ネットの闇サイトを利用し、暗号通貨で決済する売買方式のようで、麻薬事犯の低年齢化が進んでいる。「日韓の青少年交流の活発化を」と口から唾を飛ばして叫ぶ人もいるが、麻薬には要警戒だ。 韓国は長らく「麻薬清浄国」と称してきた。10万人当たりの麻薬事犯が20人以下なら「清浄国」と、韓国のマスコミは主張してきた。人口統計からして精度が疑われる(=高齢者向け補助金を詐取するため、死亡届を出していない事例が少なからずある)ことはさておき、2015年には20人を突破した。 それでも長らく「清浄国」としてきたのは、そもそも麻薬と無縁の国だったからと韓国のメディアは言う。 李王朝が清から麻薬を輸入していた歴史も、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の子息で、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弟が麻薬使用で軍から追放された事実も「なかったこと」にすれば、「麻薬と無
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