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  • <正論>この夏に思う 玉疵も瘤となりたるさくら哉 文芸批評家・新保祐司

    新保祐司氏毎年、8月15日の終戦の日になると思い出されることがある。かつて家の近所にあったきしめん屋の主人とのやりとりである。確かオリンピックかワールドカップかの国際的なスポーツ大会が開催中のことで、もう20年近くも前のことになると思うが、その場の記憶は鮮明である。 終戦の日に思う彼は、出征して戦場で戦った経験を持っていたが、戦後は長く東京で料理屋をやっていた。晩年になって、そちらをたたんで鎌倉に店を開いたのである。いろいろ苦労があったに違いないが、それが人格の中に溶け込んだような風情でいつも穏やかな表情をして笑顔のすてきな人だった。私は、よく昼に出かけたが、いつも世間話を楽しんだ。手打ちのきしめんには、職人の魂が打ち込まれたようで、心してするのを礼儀のように思っていた。

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  • <主張>岸田氏が不出馬へ 総裁選で信頼回復を図れ 首相は外交安保で業績挙げた 社説

    岸田文雄首相が9月の自民党総裁選への不出馬を表明した。令和3年10月の内閣発足からおよそ3年で退陣となる。 安倍派を中心とする自民派閥パーティー収入不記載事件に端を発した「政治とカネ」の問題などで岸田政権と自民は支持率低迷に喘(あえ)いでいた。国民の信頼が失われたままではさまざまな政策を進めることは難しく、国政選挙で勝利することもおぼつかない。不出馬の表明は当然だろう。 岸田首相は会見で「自民が変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」と語った。 責任取らず求心力失う政治とカネの問題をめぐり、他派の議員を処分したが、岸田派の問題への責任を取らなかったこともあり、世論の支持を失い、党内の求心力もなくなっていった。もっと早く責任の取り方を明確にすればよかった。 一方で、岸田首相には評価できる点もある。 それは、日の平和と安全、繁栄の基盤となる外交・安全保障政策を誤らず

    <主張>岸田氏が不出馬へ 総裁選で信頼回復を図れ 首相は外交安保で業績挙げた 社説
  • 全ての御霊安らかなれ 靖国神社参拝は戦没者との約束だ 論説委員長 榊原智  終戦の日に

    終戦の日を翌日に控え、靖国神社は大勢の参拝客で混雑していた=14日午後、東京都千代田区(桐原正道撮影) 79回目の終戦の日を迎えた。日は、大東亜戦争と呼称した先の大戦で、陸海軍人、民間人合わせて310万人の同胞を喪(うしな)った。全ての御霊(みたま)安らかなれと心からの祈りを捧(ささ)げたい。 昭和天皇の玉音(ぎょくおん)放送を拝聴し終戦を知った国民は齢(よわい)を重ね、ごく少数になっている。そうであっても、日史上、最大の悲劇だ。あの戦争を語り継ぎ、鎮魂と平和の祈りを重ねたい。 戦没者(英霊)は日や故郷、愛する人たちを守ろうと出征した。子を儲(もう)けずに逝った若者も多かった。 頭を垂れた安倍元首相尊い命を捧げた英霊にとって靖国神社に永く祀(まつ)られることは自明で、いわば日の国との約束だった。これは極めて大切な話だ。 だからこそ靖国神社が戦没者追悼の中心であり続けるべきなのである

    全ての御霊安らかなれ 靖国神社参拝は戦没者との約束だ 論説委員長 榊原智  終戦の日に
  • 原爆資料館に外国人の長い列 また敗戦の日が巡りくる  裏千家前家元・千玄室

    裏千家前家元・千玄室氏今年も8月15日が巡ってくる。終戦記念日といわれる日であるが、私にとってはいまなお敗戦記念日である。実際、サンフランシスコにおいて1951(昭和26)年9月8日にやっと日の平和条約が締結されるまで、日に終戦は来ていなかったのである。 終戦から79年、もはや歴史上の史実との認識しか持たぬ若者が多くなった。 アメリカで高校生に質問すると、広島や長崎に原爆を投下したことによって早く戦争が終わった、との答えが返ってくることが多い。高校生に限らず大人でも、いまだにそう公言するのには驚くしかない。 戦争体験者は戦地での体験を家族にさえ多くを語ろうとしてこなかったが、昭和、平成、令和と年号が変わり、歳(とし)を重ねるとともに戦争の記憶が薄れていくことを危惧して重い口を開き始めた。私自身も70歳近くになったころ、戦死していった仲間のことを伝えなくてはと思うようになった。 しかし、

    原爆資料館に外国人の長い列 また敗戦の日が巡りくる  裏千家前家元・千玄室
  • 戦争原因は「時代の指導者の不遜な思い」 79年前の広島で被爆体験した88歳女性が平和訴え 東大阪

    79年前の広島市で原爆被害に遭った大阪東大阪市の藤勝子さん(88)が、同市役所で市民らを前に「原爆体験のおはなし」と題した講演を行った。戦争で人間が「怖いことが怖くなくなるのはすごく怖い」と語り、21世紀の現在も世界各地で戦争が起きる原因は「時代の指導者の不遜な思いからではないか。いけないことだと心で念じ、子供たちが平和な時代を過ごせるように切に祈る」と強調した。 こうした講演は、東大阪市の平和事業の一環。藤さんは国民学校初等科4年(現在の小学4年)だった昭和20年8月6日朝、疎開先から一時的に帰省していた広島市の実家で被爆した。米爆撃機B29が飛行する音が聞こえ、家から外の様子を見ると「ピカーッと異様な光」を感じ、同時に爆風で家が崩れた。 実家は爆心地から約1・3㌔と近い。下敷きになった藤さんは「『助けて』と言っても誰も助けてくれない」との混乱ぶりで、空が見えた隙間から「体が血だ

    戦争原因は「時代の指導者の不遜な思い」 79年前の広島で被爆体験した88歳女性が平和訴え 東大阪
  • インドのモディ政権3・0はどうなる 過信で与党単独過半数割れ、外交で米国を怒らせず インド太平洋考

    7月29日、東京都内の日記者クラブで記者会見するインドのジャイシャンカル外相(岩田智雄撮影)インドのモディ政権は3期目に入った。先の総選挙では、与党が下院の単独過半数を確保できず、基盤は強固ではない。支持後退の理由は何か。また、モディ首相はロシアを訪問し、日米、オーストラリアとの協力枠組み「クアッド」外相会合のためジャイシャンカル外相を日に派遣するなど「3・0外交」を始動させた。今後、どのような政策を取るのか。専門家の分析をもとに考えてみた。 ヒンディーベルトで敗北6月開票のインド総選挙は、与党インド人民党(BJP)が第1党となり3連勝だった。しかし、下院543議席中、獲得できたのは240議席。過去の単独過半数とは異なり、党勢は弱まった。政権運営で地域政党の協力が必要になる。

    インドのモディ政権3・0はどうなる 過信で与党単独過半数割れ、外交で米国を怒らせず インド太平洋考
  • 台湾が警戒する海上封鎖 台湾・中国時報「520開局大挑戦」 有事を読み解く⑮

    台湾有事の当事者である台湾では、有事に関するシミュレーションの結果が公表されることは少ない。中国から日常的に脅威を受ける中、社会や政治に及ぼす影響が大きいためとみられる。その中で台湾大手紙、中国時報は頼清徳政権の発足を受け、5月30日に中国が今後取り得る威圧的行動に関するシミュレーションを行った。各国の台湾向け商船に中国土への寄港を義務付け、事実上の海上封鎖を実施した場合の対応を検討した。 シミュレーション「520開局大挑戦」は各分野の専門家10人が赤組(中国)と青組(台湾)に分かれ、5月20日の頼政権発足以降、中国側が主に11月の米大統領選前後までに実施する可能性がある選択肢を座談会方式で検証した。 シミュレーションを実施した中国時報は中国寄りの論調で知られ、与党・民主進歩党とは距離がある。ただ、シミュレーションには淡江大の黄介正教授が理事長を務める中華戦略・兵棋研究協会が協力した。淡

    台湾が警戒する海上封鎖 台湾・中国時報「520開局大挑戦」 有事を読み解く⑮
  • 拉致問題解決へ「感情」に直接訴え 北朝鮮住民を味方にできるかが「心理戦」のカギ

    南北軍事境界線付近での訓練で、宣伝放送のために設置された拡声器を扱う韓国軍兵士たち。韓国国防省が6月9日公開、提供した(ロイター)日の拉致被害者支援団体「特定失踪者問題調査会」が北朝鮮国内に動画を送り込もうとしている映画「めぐみへの誓い」は、横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=と家族の絆を切々と描き出している。産経新聞などと対談した韓国の康仁徳(カン・インドク)元統一相が対北情報戦で最も重要と指摘する「北朝鮮住民の感情に直接訴えかける」映像といえる。動画の送り込みが成功すれば、拉致問題で北朝鮮住民を味方につける新たな展開も期待できる。 「北朝鮮に住んでいる人たちも人間だ。人間的な感情に訴えかけることが一番重要だ」。康氏は「心理戦」と呼ばれる対北宣伝戦略の要点についてこう指摘した。 康氏が、南北軍事境界線付近で約6年ぶりに再開された拡声器による対北宣伝放送でめぐみさんの母親のメッセー

    拉致問題解決へ「感情」に直接訴え 北朝鮮住民を味方にできるかが「心理戦」のカギ
  • <正論>この夏に思う 死者への「負い目」に身をただす  社会学者、京都大学名誉教授 竹内洋

    竹内洋氏大学4回生のとき、資格取得の単位のために他学部の授業を受講した。講義の内容よりも先生の穏やかで、ほっとするような人柄にひかれて出席していた。時々、先生は雑談を挟んだ。ある日、兵隊で戦地にいたころの話をされた。敵機の来襲とあわてふためいて仲間と逃げ回ったが、実は…というような笑い話めいたものだった。最後にぽつりと先生は言った。 「今でも、あのとき同じ班にいて死んだ仲間がときどき夢にでてくるんだ。そのたびに身をただすような気持ちになる。これでいいのかと言われているようでね」 吉田満『戦艦大和ノ最期』

    <正論>この夏に思う 死者への「負い目」に身をただす  社会学者、京都大学名誉教授 竹内洋
  • メダルランク首位は米国、2位中国、日本は「東京」に続き3位 メダル獲得国は2減り91に

    11日に閉幕したパリ五輪は最終日まで日選手団のメダルラッシュが続いた。日が獲得した金メダル20個は海外開催の五輪で最多を記録し、メダルランキングで自国開催の前回東京大会に続いて世界3位につけた。メダル総数45個も最多だった。今大会では近代五種や高飛び込みなど日勢初のメダルも多く、一過性に終わらせることなく、今後につなげたい。 メダルランキング首位は米国で、金メダルは40個。東京大会で3大会ぶりに40台を切る39個だったが、再び大台に乗せて4大会連続で首位を守った。2位は中国で、金メダル数では米国と並んだが、総数などで下回った。中国は東京大会で2016年リオデジャネイロ大会よりも12個増やして38個を獲得し、今大会でさらに1つ積み増し、改めて「スポーツ大国」ぶりを見せつけた。 米国は前回金メダル7個と振るわなかった陸上が14個を獲得して復活を印象付けたほか、バスケットボール男女で連覇を

    メダルランク首位は米国、2位中国、日本は「東京」に続き3位 メダル獲得国は2減り91に
  • 玉城デニー派は総崩れ…「オール沖縄」大敗 那覇支局長・大竹直樹 - 月刊正論オンライン

    夕刊フジ写真 沖縄県議選の結果を受け、記者団の取材に応じる玉城デニー知事=17日午前0時35分、那覇市(大竹直樹撮影) 県政を揺るがす「地殻変動」だ―。 六月十六日に投開票された沖縄県議選(定数四十八)の結果を評し、ある自民党沖縄県連関係者はこうつぶやいた。 今回の選挙で、玉城デニー知事を支持する共産、立憲民主両党などの県政与党は過半数を割り込む二十議席(改選前二十四議席)にとどまり、自民党など不支持派が二十八議席(同二十四議席)と躍進した。派閥政治資金パーティー収入不記載事件の影響をはじめ、政権与党である自民、公明両党に逆風が吹く中、公認候補全員が当選。一方で、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を打ち出した故・翁長雄志前知事の下に結集し、後継の玉城氏も支えていた「オール沖縄」勢力は、翁長氏が県知事に初当選した平成二十六年以来、県議会での過半数を初めて失った。 「私

    玉城デニー派は総崩れ…「オール沖縄」大敗 那覇支局長・大竹直樹 - 月刊正論オンライン
  • 原爆慰霊式を政治化するな 長崎市のイスラエル招待撤回は犠牲者に対する冒瀆 宮家邦彦 宮家邦彦のWorld Watch

    フランスの首都パリにあるバスチーユ広場で行われた反ユダヤ主義への抗議運動。差別には非難の声が上がる=6月20日(ロイター)この原稿は8月6日午前、広島のホテルで書いている。市内では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が平穏かつ円滑に行われた。高校生だった筆者が初めて広島平和記念公園の原爆ドーム前に立った時、稲に打たれたような衝撃を受けた。その感覚は長崎の平和公園でも変わらなかった。1945(昭和20)年に広島と長崎でかくも多くの一般市民が犠牲になった。筆者にとって、毎年8月に開かれる式典は若き日のあの衝撃を思い返す荘厳、神聖かつ厳粛な場である。それに今回泥を塗ったのが他ならぬ長崎市である。 政治的判断広島市は6日の式典に例年通りイスラエル大使を招待したが、パレスチナは招待していない。当然だろう、パレスチナは国家ではないからだ。ところが、長崎市はイスラエル招待を最終的に、事実上

    原爆慰霊式を政治化するな 長崎市のイスラエル招待撤回は犠牲者に対する冒瀆 宮家邦彦 宮家邦彦のWorld Watch
    kanoetatsu
    kanoetatsu 2024/08/11
    宮家邦彦先生、流石!
  • 台湾初の「中国侵攻」ドラマ、議論沸騰 プロデューサー「事態は切迫」高橋一生さんも出演

    取材に応じる台湾テレビドラマ「零日攻撃」のプロデューサー兼脚統括、鄭心媚氏=8日、台北市(西見由章撮影)【台北=西見由章】台湾で初めて中国による浸透工作と武力侵攻を扱ったテレビドラマ「零日攻撃(ゼロ・デイ)」が、高橋一生さんら日や香港の俳優も参加して制作中だ。中国メディアは「若者を扇動し台湾独立のために戦わせようとしている」などと反発。台湾でも論争が起きている。話題作の狙いをプロデューサー兼脚統括の鄭心媚(てい・しんび)氏(48)に聞いた。 7月23日、零日攻撃の17分間の予告編が動画サイトに公開された。中国軍が台湾沖で消息を絶った対潜哨戒機の捜索を理由に、台湾を海上封鎖。さらに台湾側に降伏を迫り、パニックに陥った台湾中国との内通者が内乱を起こす-という設定だ。予告編の再生数は150万回を超えた。

    台湾初の「中国侵攻」ドラマ、議論沸騰 プロデューサー「事態は切迫」高橋一生さんも出演
  • <正論>北朝鮮と露に積極的妨害工作を  国際問題アナリスト、元国連専門家パネル委員・古川勝久

    古川勝久氏北朝鮮ミサイルの弱点今年1月2日、ロシア軍がウクライナ北東部の都市ハルキウをミサイル攻撃した。日では能登半島地震があった翌日のことだ。ウクライナ当局が被災現場から短距離弾道ミサイルの残骸を回収したところ、ロシアのイスカンデルに似た短距離弾道ミサイルだったが、外形が微妙に違った。後にこれは、ロシア軍が不正調達した北朝鮮製ミサイル・火星砲11Aまたは11Bと断定された。 英国のNGO「紛争兵器研究所(CAR)」は、世界各地の紛争で使用された武器の出所を追跡調査する。欧州連合とウクライナ当局の協力の下、CARがミサイル残骸を精査すると、290点以上の外国製部品や部材が見つかった。これらの75・5%が米国企業のブランドで、ドイツ企業(11・9%)、日企業(3・1%)等と続いた。北朝鮮は欧米の厳しい輸出管理を突破して禁輸品を不正調達していた。

    <正論>北朝鮮と露に積極的妨害工作を  国際問題アナリスト、元国連専門家パネル委員・古川勝久
  • <正論>この夏に思う 一人の政治家不在が歴史変えた  麗澤大学教授・八木秀次

    麗澤大学教授の八木秀次氏無思慮な男の行動が時代を悪い方向に動かし始めた。昭和5年11月、浜口雄幸首相は岡山に向かうため東京駅のホームにいた。その際、腹部を「ピシン」と銃撃された。犯人は右翼結社の構成員で、浜口が心血を注いだロンドン海軍軍縮条約の批准を天皇の「統帥権干犯」との不満を持っていた。取り調べで「統帥権干犯とは何か」に答えられなかった。 「男子の懐」浜口雄幸たまたま東京駅にいた外相の幣原喜重郎が駅長室に駆け付けると浜口は苦しい息で「男子の懐だ」と語った。条約への反対が予想された枢密院でも可決され、条約が正式に批准されたのは1カ月前だった。3月には山梨勝之進海軍次官に「自分が政権を失うとも民政党を失うとも又自分の身命を失うとも奪うべからざる堅き決心なり」との決意を伝えていた。

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  • 知日派は忠清道から? 「古代の百済で日本に親近感」 ソウルからヨボセヨ

    新しい駐日韓国大使になった朴喆熙(パク・チョルヒ)氏(61)はソウル大日研究所長などを務めた代表的知日派だ。日赴任を前に外交官OBや学者、記者など知人による歓送会があった。知日派の同窓会みたいな雰囲気だったが、そこで新大使の故郷が私的に話題になった。韓国中部の忠清北道(チュンチョンプクト)忠州(チュンジュ)出身ということで「韓国の知日派は忠清道全盛時代だねえ」と話がはずんだのだ。 そういえば同じく知日派学者の尹徳敏(ユン・ドンミン)前大使も生まれはソウルだが父は忠清道出身だし、同席していた鄭在貞(チョン・ジェジョン)元東北アジア歴史財団理事長や李元徳(イ・ウォンドク)国民大日学研究所長も忠清道だ。それに歓送会を呼び掛けた東西大学日研究センター・ソウル事務所長の鄭求宗(チョン・グジョン)元東亜日報東京支局長自身が忠清道である。ついでに「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領だって生まれはソ

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  • 防衛白書の長所と短所 風を読む 論説委員長・榊原智

    日米の外務・防衛担当閣僚による安保協議委員会などを終え、記者会見に臨む(左から)オースティン米国防長官、ブリンケン国務長官、上川陽子外相、木原稔防衛相=7月28日、東京都港区(岩崎叶汰撮影) 令和6年版防衛白書(7月12日公表)は国防に関心ある人がじっくり読むに値する。抑止力と対処力を向上させるため、自衛隊が戦う集団になろうとしていることが分かる内容だ。目立たないが大切な取り組みを知ることもできる。有事に自衛隊や友軍の将兵を救う戦傷医療対処能力の抜的強化などである。 6年版で特に良いのは防衛省自衛隊のなわばり外の事柄を初めて説明した点だ。 岸田文雄内閣は国家安全保障戦略で、防衛省自衛隊が担う「防衛力の抜的強化」と並んで、他の省庁が主に所管する「総合的な防衛体制の強化」を打ち出した。①研究開発②公共インフラ整備③サイバー安全保障④同志国との国際協力―の4分野で、これらについて6年版は記述

    防衛白書の長所と短所 風を読む 論説委員長・榊原智
  • <主張>イスラエル不招待 長崎市長の判断は残念だ 社説

    原爆の日を迎えた長崎で平和祈念式典が開かれた。犠牲者を追悼し、平和への決意を新たにする式典だ。 ところが、式典に水を差す事態が起きた。長崎市がイスラム原理主義組織ハマスと戦闘中のイスラエルの駐日大使を招待しなかったからだ。疑問視した日以外の先進7カ国と欧州連合(EU)の大使は式典を欠席した。市が慰霊の式典に中東情勢を不用意に持ち込んだのは残念だ。 G7の大使らは鈴木史朗長崎市長宛ての連名書簡でイスラエルの招待を求めていた。不招待ではイスラエルを、ウクライナ侵略のため式典に招かれないロシアと同列に扱うことになる、という理由だ。この懸念は道理にかなっている。 鈴木市長は「政治的理由でなく、不測の事態発生のリスクなどを総合的に勘案した」と説明したが、説得力に欠ける。広島市の平和記念式典にはイスラエルの大使が出席した。広島は警備可能で長崎はできないとは思えない。警察と綿密に協議した上での合理的判

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  • 馬車列担い、古式馬術も継承 宮内庁「主馬班」の日常

    皇居の一角にある、主馬班の拠点。遠方に見える丸の内のビル街とは対照的に、緑に囲まれた敷地内には昨年8月にリニューアルした厩舎(約1100平方メートル)や、訓練のための馬場があり、31頭の馬たちが飼育されている。 主馬班トップの守谷勝己・車馬官(56)によると、コロナ禍では感染防止を目的に世話や訓練などに従事する職員を交代制にして減らしたため、馬の運動量が減少。体調に異変が出る馬もいた。沿道に見物客が密集しないよう信任状捧呈式の馬車列実施も見送られ、技術披露する場も減った。職員のモチベーション低下も危ぶまれたが、馬の体調管理を続けながら「いつかはやってやる」(守谷氏)という高いプロ意識で苦境を乗り越えた。 今年3月に再開した信任状捧呈式の際の馬車列では、大使を乗せた「儀装馬車4号」を引く「輓馬(ばんば)」や、列を指揮する「指揮官馬」などが活躍。約3年ぶりの馬車列に、守谷氏は「手綱から、不安

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  • 友達をなくしたロシア 小学生の「予言」は当たるのか 赤の広場で

    ロシアウクライナ侵攻後、ある同業他社の特派員の帰任が決まり、送別を兼ねて彼の家族とモスクワ中心部から少し離れた飲店に事に行った。事中、彼の小学校低学年の息子、K君は「ロシアが好き。また戻ってきたい」と話していた。帰宅するバスで、私はK君と隣同士に座った。 K君はその年頃の男の子らしく乗り物好きで、特にモスクワの地下鉄がお気に入りだった。K君はバスの中で、自身が空想で描いた地下鉄の発展予想図を見せてくれた。そこには線路が網のように縦横無尽に広がっていた。 私は「K君が今度モスクワに来るとき、そうなっていると良いね」と言った。すると「無理だと思います。戦争友達を失ったロシア投資する国はありません。きっと衰退していくでしょう」と言い返された。質を突いているように思われ、はっとさせられた。 ロシアは「制裁を克服した」と誇示するが、欧米諸国の供給網から切り離された悪影響は今後、じわじわ

    友達をなくしたロシア 小学生の「予言」は当たるのか 赤の広場で