岩波現代文庫 2000年9月 ポストモダン関係の本を読んでいると、ハイデガーは逸することのできない名前であることがわかる。それで以前読んだこの本を引っ張り出してきて読み直してみた。ハイデガーの本を読んでも少しもわからない(というか読む気がしない)が、この本はなんとなくわかるような気がする。それは著者のスタイナーが哲学者ではなく、文芸批評家であるからなのだと思う。わたくしは哲学者の書く本というのが苦手なのである。あるいは哲学書の著述スタイルが苦手なのかもしれない。 最初に「ハイデガー 一九九一年」という文が付されているが、これは1978年に出版された著書にあとから付されたものである。ここの部分が一番理解しやすい。 スタイナーは、ハイデガーは当初(キリスト教)神学者として出発したという。 究極の問いを問おうとするハイデガーの決意、真摯な人間の思索はあくまでも「最初にして最後の物事」にこだわらね