若年弱者が右傾化した90年代前半。このような現象は日本ばかりでなく、世界的に見られる。ただし外国の場合は安い給料で働く外国人労働者に仕事を奪われることによる外国人排斥的運動が引き金になるが、日本の場合は直接そのような動機はない。基本的には憂さ晴らしだ。日常的に自己を否定するような、成功者−落伍者、高学歴−低学歴というヒエラルキーから逃避するために、日本人−外国人、男−女というヒエラルキーを持ち出してそこに逃げ込むのである。 現代社会では前者のヒエラルキーによる差別に直接的違法性はないが、後者による差別は厳しく糾弾される。彼らには、学歴で差別されるのは許されて、民族で差別するのはいけないというのが解せないのである。それで、さらに進歩的なインテリゲンチアへの憎しみが募る。 また本来弱者の受け皿になるべき労働組合が既存組合員の利益を優先しは若者に冷たかったことが、若者をナショナリズムに駆り立てた