とり・みき マンガ家 熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。 この著者の記事を見る
やはり一度はしっかり取り上げておきたい。大人気コミック「シグルイ」について。今日はコミック評。 オチから先にいえば、コミックという枠組みを超えた現代日本の娯楽表現の中でもっとも重要な作品の一つだと思う。少なくともコミック史に名を残すモンスターじみた傑作だ。 注目すべきはやはり強烈極まる残虐性だろう。身体が断ち割られ、内臓が露出し、鈍器によって頭がひしゃげ、目玉が潰れる描写が目白押しなわけで、紙から血の臭いが漂ってくるような凶々しさに溢れている。 しかし残虐性も重要なファクターではあるが、この作品のすごいところは、その残虐性を生み出す封建社会と武士道の本質をきっちり理解しているところだ。偉そうな物言いだけど。そもそも民主主義の価値観が浸透した最近の日本では、なかなかリアルな封建社会の価値観を描いた作品に出会えない。「あずみ」や「バガボンド」や「バジリスク」ももちろん傑作だが、やはりヒューマニ
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