(英エコノミスト誌 2014年3月1日号) ウクライナの混乱は、欧米がまだ善の力となり得ることを証明するチャンスだ。 人は徐々に、やがて突然に破産へと至る、とアーネスト・ヘミングウェイは書いている。独裁者が権力を失う時も同じ過程をたどることを、職を追われたウクライナの大統領、ビクトル・ヤヌコビッチ氏の運命が劇的に物語っている。 腐敗の甚だしい政権に対する一般国民のデモが勃発した昨年11月から、ヤヌコビッチ氏の権威は衰退していた。 そして、首都キエフで残虐にも多くの自国民に向けて発砲したのをきっかけに、かつては支持者だった大物実業家や軍幹部に見放され、ヤヌコビッチ氏の力は消え失せた。ヤヌコビッチ氏は逃亡し、2月24日に大量殺人の容疑で指名手配された。 ウクライナ国民は祝杯を挙げた――少なくとも、一部の国民は。その安堵は理解できる。ヤヌコビッチ氏が去ったことで、ウクライナはついに、ソビエト連邦