この本の感想については、この前の記事で、本を購入記録を書いたときにあらかた述べたので、それでいいと思っていたのだが、もう少し書いてみたくなった。それで承前である。 この前の記事で、「読んでみて何だかなあと思った」といったことを書いたのだが、それがどうしてなのかと考えてみた。世代論というのは嫌いなのだけれども、やはり年齢の違いということが大きいのだろうかと思った。 著者は1964年生まれであるから、60年安保の時にはまだ生まれていない。1968年にもまだ4〜5歳である。わたくしは戦後の生まれだから、戦前・戦中の昭和の重苦しさというのは、知識としては理解できても、実感としてはわからない。それで松尾氏の本を読んで、われわれの世代はまだ肌で感じたであろう「マルクス思想」に射していた後光のようなもの、あるいは「革命」という言葉が持っていた独特の輝きのようなものを、氏の世代はまったく体感としては解らな