3月の日銀短観が発表された。日本経済の先行きをどう読み取ることができるのだろうか。 筆者は、最も重要な経済指標は何かと問われれば、迷いなく「雇用」と言っている。雇用が確保できれば、経済政策は及第点といってもいい。そのため、失業率、就業者数にいつも着目している。これらは遅行指数であるので、これまでの経済政策を評価するためには好都合な指標である。 就業者数は民主党政権時代に約30万人程度減少したが、自公政権になってから逆に100万人程度増加している。これは金融政策の効果である。 今回の短観でも、大企業の雇用人員判断(過剰から不足を引いた値)はマイナス10、中堅企業はマイナス17、中小企業はマイナス20と人手不足感は中小企業にも広がっている。そうした状況は、リーマン・ショック前の好景気以来である。特に、製造業での人手不足感は、30年以上前のバブル崩壊直前以来である。 雇用が拡大しているというと、