雄鶏社の自己破産には正直驚いた。これほどの出版社であれば、事前になんとなく情報は入ることが多かったが、今回はあまりにも突然だった。武内英昭社長とはもう何年のお付き合いになるだろう。営業部の五木田一太さんはじめ、公私にわたりお世話になってきた。 私がサンヤツ営業していた駆け出しの頃から業界の慣習など、いろんなことを教えていただいた。数年前にトーハンの並びにあった本社ビルを売却した時に、業界の一部から同社の不安情報が流れ、武内社長はその対応に苦慮されていた。 そのことによる返品の影響があることは言うまでもなく、新文化の紙上で何らかのアクションをとりたいという相談があった。しかし、それが逆効果になる恐れもあり、私は乗り気になれなかった。いま思うと複雑な気持ちである。 時代とともに手芸をする人が減り、読者が減っていた。しかし、低価格の「きっかけ本」シリーズや新規事業には意欲的で、社をあげて拡売に臨