(原題:GRAN TORINO )どうもクリント・イーストウッドの監督作は評価できない。褒める者も多い本作だが、私はイーストウッド扮する主人公が単にヒーローぶっているようにしか思えないのだ。現役時代はフォードの工場で働き、朝鮮戦争にも従軍したことがあるウォルト(イーストウッド)は、年寄り扱いする二人の息子や、移民が増えて治安が悪くなる一方の町の状況を嘆く毎日だ。しかも妻に先立たれ、その頑迷ぶりには拍車が掛かっている。 ここで疑問に思うのは、いくら家族との思い出がある場所とはいえ、そんなに気に食わないのならばすぐさま引っ越せばいいのに、彼はそうしないところだ。でも、やがて隣家の中国系移民の少年と知り合ったのをきっかけに、彼は思いがけず“近所付き合い”をすることになる。何のことはない、彼は単なる寂しがりやだったのだ(呆)。 斜に構え孤高を気取っているようでいて、実は人恋しくてたまらないヒネた奴