楠木 建●一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授。1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。日本語の著書に、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)、監訳書に『イノベーション5つの原則』(カーティス・R・カールソン他著、ダイヤモンド社) などがある。©Takaharu Shibuya 戦前の陸軍参謀、石原莞爾は「帝国陸軍の異端児」と呼ばれた有名な人物である。その独特の軍事思想を著した『最終戦争論』も、タイトルだけであれば聞いたことのある人も多いだろう。しかし、実際に読んだという人はそれほど多くないのではないか。僕もその一人だった。石原莞爾の評伝は読んでいたし、さまざま歴史書で頻繁に名