ローマ帝国や大英帝国の衰退期には空前の健康ブームが起きたそうですが、まあ関心が内側をむくというのは滅びの予兆でしょうね。例えば、突然ネット論などを語り出すブログは要注意です。今日は、前回のエントリを受けて、ネットと「名前」の関係について考えます。 私がインターネットであれこれと持説を論じたり、私生活について書いたりしているのを不思議に思ってか、「先生、あんなに自分のことをさらけだして、いいんですか?」とたずねた学生さんがいた。 あのね、私のホームページで「私」と言っているのは「ホームページ上の内田樹(たつる)」なの。あれは私がつくった「キャラ」である。あそこで私が「……した」と書いているのは、私が本当にしたことの何万分の一かを選択し、配列し直し、さまざまな嘘やほらをまじえてつくった「お話」なのである。「私」はと語っている「私」は私の「多重人格のひとつ」にすぎない。そういう簡単なことが分から