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ブックマーク / mrjohnny.hatenadiary.org (9)

  • 名前のない忘れ物、世界にただ一つの名、この「名もなき詩」を - 吹風日記

    ローマ帝国や大英帝国の衰退期には空前の健康ブームが起きたそうですが、まあ関心が内側をむくというのは滅びの予兆でしょうね。例えば、突然ネット論などを語り出すブログは要注意です。今日は、前回のエントリを受けて、ネットと「名前」の関係について考えます。 私がインターネットであれこれと持説を論じたり、私生活について書いたりしているのを不思議に思ってか、「先生、あんなに自分のことをさらけだして、いいんですか?」とたずねた学生さんがいた。 あのね、私のホームページで「私」と言っているのは「ホームページ上の内田樹(たつる)」なの。あれは私がつくった「キャラ」である。あそこで私が「……した」と書いているのは、私が当にしたことの何万分の一かを選択し、配列し直し、さまざまな嘘やほらをまじえてつくった「お話」なのである。「私」はと語っている「私」は私の「多重人格のひとつ」にすぎない。そういう簡単なことが分から

    名前のない忘れ物、世界にただ一つの名、この「名もなき詩」を - 吹風日記
  • なぜ大切なものは見えないか、脳がつくる世界、全部の星に花が咲く - 吹風日記

    「大切なものは目に見えない」というのはよく聞く言葉ですが、なんだか分かったような分からぬような言葉です。今日は、人間の脳の機能から切り込むことで、どうして大切なものが目に見えないのかについて考えます。 では、「見えないもの」が、しばしば、「高級なもの」であるのは、どうしてか。抽象的な概念は、すべて「目に見えない」。それは、そうした概念が、耳に聞こえず、鼻に臭わず、手に触れないことと、同じことである。なにもそこで、目だけを特別扱いすることはない。そうした概念は、脳の中では、目や耳や鼻といった、もろもろの感覚器に直接関与する部分ではなく、連合野と呼ばれる、それ以外の部分に位置するからこそ、われわれはそれを、「目に見えない」というのである。もちろん、それなら、「聞こえない」し、「臭わない」し、「触らない」と言ってもいい。なぜ、そう言わないか。 そこでは、人の特質が関係するであろう。それは、目がき

    なぜ大切なものは見えないか、脳がつくる世界、全部の星に花が咲く - 吹風日記
    massunnk
    massunnk 2006/09/05
  • 靖国神社と囚人のジレンマ、主人と奴隷の戦略、自分の為に生きること - 吹風日記

    「囚人のジレンマ」というゲームでは、「しっぺ返し戦略」や「パブロフ戦略」など「協調的」な戦略が有利であることはよく知られています。ところが、2004年に行われた大会で優勝したのは、まったく異なる戦略でした。今日は、世界をもうちょいマシにする方法を考えます。 「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 俵万智『サラダ記念日』より 理屈ぬきで共感できる歌ですね。個人的に、俵万智の歌の中でも最も好きな歌の一つです。 さて、今日は、まず次のような主張から始めたいと思います。すなわち、この歌で行われているような、相手のアクションをただ「オウム返し」するだけのコミュニケーションは、対人関係において非常に有効である。いや、そればかりか、「最強」の戦略である、と。 何を言ってるんだお前は、「最強」とかいう問題なのか? という感じですけど、まずは、この主張を「囚人のジレンマ」というモデルを

    靖国神社と囚人のジレンマ、主人と奴隷の戦略、自分の為に生きること - 吹風日記
  • どこに行けば人間の死体に出会えるか、詐欺みたいな話、今を - 吹風日記

    現代日で人間の死体に出会うためにはどうすればいいか? これはけっこうな難問です。でも、なんで我々はそんなに「死」を見るのがいやなんでしょうか? 今日は、「予定された未来」ではない、当の「今」を生きることについて考えます。 ただし、自分がどの段階でどれだけ年老い、どれだけ体力を失い、感覚がどれだけ鈍るか、それは手帳に書いてない。さらにいつ、どういう病にかかり、その結果、いつ死ぬことになるか、やはり手帳には書いてないのである。考えてみれば、その手帳がすなわち意識である。意識という手帳は、そこに書かれていない予定を無視する。いかに無視しようと、しかし、来るべきものはかならず来る。意識はそれをできるだけ「意識しない」ために、意識でないもの、具体的には自然を徹底的に排除する。人の一生でいうなら、生老病死を隠してしまう。人はいまでは病院で生まれ、いつの間にか老いて組織を「定年」となり、あるいは施設

    どこに行けば人間の死体に出会えるか、詐欺みたいな話、今を - 吹風日記
    massunnk
    massunnk 2006/08/14
  • 天皇という仕事、人権のない日本人、その場にいて何かを我慢すること - 吹風日記

    天皇という仕事が窮屈そうなのはなんとなく想像できますが、それではいったい、法律上、天皇の人権はどこまで制限されているのでしょうか。今日は、天皇という極限の生き方について考えます。 中ごろ、市正(いちのかみ)時光とふ笙(しやう)吹きありけり。茂光といふ篳篥(ひちりき)師と囲碁を打ちて、同じ声に裹頭楽(くわとうらく)を唱歌(しやうが)しけるが、面白く覚えけるほどに、内よりとみの事にて時光を召しけり。 御使ひいたりて、この由を言ふに、いかにも、耳にも聞き入れず、ただもろともにゆるぎあひて、ともかくも申さざりければ、御使ひ、帰り参りて、この由をありのままにぞ由す。いかなる御いましめかあらんと思ふほどに、「いとあはれなる者どもかな。さほどに楽にめでて、何事も忘るばかり思ふらんこそ、いとやむごとなけれ。王位はくちをしきものなり。行きてもえ聞かぬこと」とて涙ぐみたまへりければ、思ひの外になむありける。

    天皇という仕事、人権のない日本人、その場にいて何かを我慢すること - 吹風日記
  • 吹風日記 - 明日どうやって死ぬか、死にたくなければ表出ろ、死ぬ理由はいらない

    平均的日人が、病気以外で明日死ぬとしたら、どのような死に方の可能性が高いか? これ、かなり意外な結果になります。なぜ我々の死についての思考パターンはこんなに狂ってるんでしょうか。今日は、死ぬのに理由なんてないほうがいいよね、ということについて考えます。 竜夫は家に帰ると井戸水を腹一杯飲んだ。そして押し入れの中に潜り込んだ。なぜそうしているか、自分でも判らなかった。襖を閉ざして、狭い押し入れの中に身を屈め、隙間からこぼれてくる光を睨んでいた。 おとなになっても、ほんとの友だちでおるちゃ。 関根の声が暗闇の中から聞こえてくるような気がした。自分も一緒に釣りに行っていれば、関根は死ななかったろうかと思った。体を左右にくねらせながら、古びた自転車を懸命にこいで道の向こうに消えていった関根のうしろ姿が竜夫の胸に浮かび上がってきた。竜夫は自分以外には誰もいない家の押し入れに身を隠していつまでも座り込

    吹風日記 - 明日どうやって死ぬか、死にたくなければ表出ろ、死ぬ理由はいらない
    massunnk
    massunnk 2006/07/22
    かっこいいなー
  • 死人が生き返ることはあるか、早すぎた埋葬、惜しみなく花もて埋めよ - 吹風日記

    生きながら埋葬される、あるいは臓器を摘出される、これはそうとうな恐怖だと思います。しかし、現実にはこんなことがけっこうあるのではないか? 今日は、「死んだ人が生き返ることがあると思うか」などと子供に聞く大人はアホではないか、ということについて考えます。 「甲虫(かぶとむし)がとうとう死んだの。それで、あの子今まで泣いて泣いて……」。 鳥や虫の小さい生命の消えるたびに、いつも事新しく悲しむ次女が哀れにもまた好ましかったので、そのとき私は、なんとなく微笑した。 明けての朝は二学期初めの登校日。曇り空だが雨はあがっていた。 「帰ってから花壇に埋めるから預かってネ」――次女はそう言い、ちり紙に包んだ甲虫を私の机に置いて登校した。 あとで紙包みを開いてみた。甲虫は生きていた。後足がかすかに動く。「まだ生きてるじゃないか!」――予期せぬ驚きが声になった。台所にいたが、信じられないという顔で甲虫を覗き

    死人が生き返ることはあるか、早すぎた埋葬、惜しみなく花もて埋めよ - 吹風日記
  • 世界最古の顔文字、日本最古のエロ小説、黙読は世界を啓く - 吹風日記

    かつて読書は音読が主流でした。では、音読できない小説なんかはどうしちゃったんでしょうか? 今日は、黙読とは世界の禁忌に触れ、人を目覚めさせる行為なのではないか、ということについて考えます。 名前は忘れたが、フランスの中世の神学者が日記の中で、こういうことを書いていたそうだ。蔵書家で知られる彼の書斎に、甥っ子が無断ではいりこみ、を読んでいたらしい。そのことを彼はこう日記に書いたという。 「なんと彼は、声をださずにを読んでいた」 まるで奇っ怪な悪魔でも見たかのように、その神学者は衝撃を受けたのだった。たまたま書斎にはいって、甥の行為を目撃したときのこの彼の驚きぶりを、私たちは、なにか不思議な感じで受け取ってしまうが、それは私たちが黙読を当たり前のこととして考えているからだ。 その甥っ子は勝手に書斎にはいりこんで、おじの蔵書を読むことに、うしろめたさを感じていたのだろうか。だからこそ彼は声を

    世界最古の顔文字、日本最古のエロ小説、黙読は世界を啓く - 吹風日記
    massunnk
    massunnk 2006/07/16
    「いくらなんでも、エロ小説を音読するやつは少ないでしょう。したがって、最古のポルノ小説がいつから始まったかを調べれば、音読と黙読の歴史を考えるヒントになるのではないでしょうか」すごい視点
  • 1=0.9999999999…、はじめに言葉ありき、世界を拡げるただ一つの道 - 吹風日記

    「1=0.9999999999…」という式が納得できない、という人は多いようです。今日は、この式の難しさの質はどこにあるのか? そして、この式に人が感じる納得のいかなさは、いったいどこから生じてくるのかについて考えます。 世の中にはあたりまえだと思っていることが、実はそうではないことも多い。たとえば、今日という日はいったいいつから始まるのか、とあらためて考えてみると、意外にむずかしい。午前〇時なのか、〇時一秒なのか。また、〇時〇秒五は今日なのか、昨日なのか。 まずは数字の世界で考えてみる。 時間の流れを一の連続した直線で表し、その線上に一つの点をとり、「一日の始点」とする。そこから右へ一定の間隔で点をとり一時間とすると、一二番目の点が正午、二四番目の点が「次の日の始まり」となり、前日にはふくまれない。したがって一日の始点は午前〇時であり、終わりは二三時五九分五九秒九九九九…と無限に二四

    1=0.9999999999…、はじめに言葉ありき、世界を拡げるただ一つの道 - 吹風日記
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