原子論というのは、「すべての物質は非常に小さな粒子(原子)で構成される」という主張の事を指す。これは今では科学的に正しいということが証明され、すべての科学者はこのことを前提として科学的な考察をしている。だから「原子論」については、それが正しいということや、その正しさが確立されてきた歴史というものはいろいろと解説してくれる資料は多い。 僕の尊敬する板倉聖宣さんも、『原子論の歴史(上)(下)』(仮説社)という本で原子論の正しさとその「論」の歴史については詳しく書いている。だがここで想像したいのは「論」の正しさではなく、「論」の意味を正しく受け取るための「原子」の概念がどのように誕生してきたかということだ。 「目に見えないほど小さい」とか「すべての物質の構成単位としての極限的なもの」であるとかいう「原子」のイメージがどのようにして生まれてきたのかということを想像したい。これはそのような問題意識で