わたしは、怒りの感情が弱い。喜怒哀楽と感情あるなかで、怒のバランスがかなり低いのである。もちろん、頭にくることはしょっちゅうあるのだが、怒りがうまく持続しないし、なんだか途中からは疲れてきちゃって、わりとどうでもよくなって寝てしまう。だから、ものごとに取り組むさいの動機づけとして、怒りをうまく利用できない。「ちくしょー、頭にきたぞ。こうなったら、誰にもまねできないような、なにかすごいことやってやる」という気持ちで、ものごとへ向かうことができない。 負の感情を動機づけにする、というのは、もちろんわるいことではない。ヒップホップがその代表例だ。生まれた環境や差別、貧困などの経験を、表現に昇華させる。かかる表現が広く受け入れられたのは、やはりそれがリアルだったからで、怒りをきちんと表現の域にまで持っていけた人たちもたくさんいる。しかし、正直なところわたしは、「怒ってるラップ」にそれほどなじめなか