高橋源一郎のインタビュー(文藝06年夏号 聞き手=柴田元幸)に関して、もう少し。 インタビューの最後のほうで、高橋源一郎は、「近代文学あるいは小説が終った後には何が来るのか」という問いを発端にして、小説というジャンル自体への無条件の信頼を改めて表明している。 《小説というものは、言語芸術におけるいちばん新しい存在、ニューフェースですよね。だから、言語を使った、何か新しい芸術形式が生まれ、それが新しいジャンルとして成立し、みんないいということになって、小説がお役御免になっても、それはそれでいいんじゃないかというふうに思うんです。しかし、そのようなジャンルXの存在を僕は想像できません。なぜなら「小説」というものの最大の特徴は「人間」が、そこに登場することで、そして「小説」以上に「人間」というものを説明できる手段を我々は持っていないからです》 《…小説は、等身大の人間が出てきて何かを行なうという
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