米国式金融資本主義の破産という事態の中で、哲学的レベルで提起されているのは、アインシュタインの相対性原理やハイゼルベルクの不確定性原理が金融市場の問題解明に役立つのかどうかということである。 Newsweek10月29日号特集「資本主義の未来」でローレンス・セッシグ=スタンフォード大学法科大学院教授はこう述べている。 「アメリカの金融機関が現在採用している金融モデルは、50年代に開発されたもので、『ユーザーが限定されている』ことが前提。当時はこの前提でも問題がなかったが、…アルゼンチンからニュージーランドまですべての市場参加者が同じデータを共有するフラットな世界では、このモデルはまったく役立たない。この状況は、ドイツの理論物理学者ウェルナー・ハイゼンブルクの不確定性原理の金融市場版だ。観測するという行為によって、観測対象である市場が変化する。世界中の金融機関が同時に、ほぼ瞬時に『調整』を行