古代ギリシアの二大叙事詩人:ホメロスとヘシオドス 古代ギリシア世界の諸民族に広く普及していたギリシア神話のエッセンスは、吟遊詩人などが口ずさむ口承の叙事詩や伝説・物語として民衆に伝えられていました。ギリシア神話は、古代ギリシアの都市国家(ポリス)に伝承されていた神話や伝説だけでなく、ヨーロッパの地中海世界に語り継がれていた伝承や説話が集積されて作り上げられたものであり、当時のヨーロッパ世界の一般教養としての側面を持っていました。 ギリシア神話の伝説や物語のアイデアの起源は紀元前15世紀以前にまで遡ると言われますが、ある程度系統的にまとめられた口承文学の叙事詩を作成したのは紀元前9世紀の詩人と言われるホメロス(ホーマー)です。客観的な証拠によって実在が確認できない伝説上の叙事詩人であるホメロス(B.C.9~8世紀)は、一説には盲目の吟遊詩人であったとも言われ、『イリアス』『オデュッセイア』と