1 これまでの読書 グーテンベルグの出版革命以来、視覚に障害のある人は「情報デバイド」を経験してきました。 しかし、19世紀になってフランス人のルイ・ブライユが点字を発明し、さらに20世紀の録音技術の登場により状況はかなり好転しました。 現在、点訳図書と録音図書は、点字図書館、公共図書館、そしてボランティアにより制作されています。毎年、数千タイトルの録音図書、点字図書が作られています。にもかかわらず、毎年出版される本はそれをはるかに凌駕しています。ジャンルにもよりますが、読もうとする本がどこかの点字図書館や公共図書館の録音図書、点字図書ライブラリーに見つかることは多くありません。とりわけ学術書となるとその可能性は非常に低いといわざるをえません。 そこでボランティアなどに個人的に録音や点訳を頼むことになりますが、どうしても完成までに数ヵ月はかかってしまいます。このタイムラグは必然的な