誤解しないでいただきたい。この映画がつまらないことなど、ぼくは見る前からわかっていた。だからかけらも怒ったりはしていない。そして「こんなものは映 画ではない」などと言うつもりもない。そんなことを言えば松本氏(あるいはその代弁者)から「年寄りの頭の固い映画評論家には新しい笑いはわからんのよ。 なんせ松本は天才やからね」と言われるのはわかっている。だからそもそも見に行くのは嫌だったのだ。何言ってもそれに対する反論は最初から用意されている んだからね。しかし、それでもなお、ぼくは見に行ったよ。 そこにあったのは無だった。無。二時間の無。これはなんだろう? コメディではない。だって、ギャグはひとつもないし、ひとっかけらも笑えない んだから。でも人情ものでもない。松本氏がぶつぶつと呟いているのを二時間見せられて、なんの人情を感じろというんだろうか? 怪獣映画でもない。CGの キャラクターが人のいない