「そばを普通盛りにゲソ天をトッピングして」。4月下旬の昼下がり、日暮里駅東口前にある24時間営業の立ち食いそば屋「一由そば」には、幅広い年代の客層がひっきりなしに訪れていた。建設現場に出る前の職人、学生、タクシー運転手や運送ドライバー。注文してすぐ出てくるので客の回転も速い。 温かいそばは230円(税込み、以下同)、半分の量の小盛りなら120円で食べられる。コシが強い田舎風が評判の名物「太蕎麦」に、ゲソ天、半分の紅ショウガ天を載せても価格は490円とワンコインでお釣りが来る。立ち食いそばファンは「都内一安い」とも称する。だが「早い、安い、うまい」を信条にしてきたこの繁盛店がかつてない難局に直面している。 たかが10円されど10円 「揚げ油を値上げします、という連絡がつい最近来ました」。一由(東京・荒川)の山本耕平社長は「大豆油の業務用一斗缶値上げのお知らせ」と書かれた1枚のファクスをじっと