「発展途上国の温暖化対策のために日本がすべき貢献は“技術移転”だ」という言葉を、しばしば耳にするようになった。だが、その中身がどういうものなのか、どうあるべきかは、曖昧模糊としている。2007年8月下旬、「環境・エネルギー課題解決のための賢人会議」のために訪ねたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長も、日本の技術への大きな期待を語っていた。その中身は何なのか、インドのトヨタとデンソーで“技術移転”の一部を見ることができた。 インド訪問は今回で4度目と少ないが、1977年、1987年、1997年、そして2007年と、偶然だが10年ごとにインドを見たことなる。1977年は哲学者、梅原猛先生のお供でインドの宗教と思想を学ぶ旅だった。1987年は伝統医学“アーユルヴェーダ”の、1997年は絶滅に瀕するベンガルトラの取材が目的だった。10年ごとの訪問のたびに自動車の急増ぶりと交通事