長年、LSI設計技術を教えてきた京都大学の小野寺秀俊教授(図1)が3月末に停年で退官されたが、このほど最終講義をリモートで聴くことができた。小野寺教授は、人を育てることがうまい、という教育でもよく知られている。最終講義は確かに面白く、ユーモアを交えた講義だった。前半では半導体集積回路の産業的なすごさ、すばらしさを伝え、後半では自身の個人的な歩みを伝えた。 図1 京都大学電子電気工学科教授 小野寺秀俊氏 出典:京都大学小野寺秀俊氏 「半導体は未来を創るもの」、「半導体は、本当は儲かる産業」と捉えており、学生の心をくすぐっている。もちろん、この二つの言葉に偽りはない。日本の総合電機の経営者が半導体を理解していなかったために、世界の半導体産業が成長を続けているのにもかかわらず、日本だけが成長どころか低下し続けている、という結果をもたらしたのである。 日本しか知らなければ、実はこの結論は出なかった