「中国は、東シナ海で周辺諸国に対して繰り返しているのと同じ挑発行為を、宇宙で米国に対して行っている」 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で宇宙安全保障を専門とするトッド・ハリソン氏は、宇宙で起きている米中摩擦の現状をこう明かした。 世間に知られるのは、両国による「偉業達成」の明るいニュースばかりだ。2月19日には米航空宇宙局(NASA)の探査車が火星の着陸に成功し、中国も同月10日に火星の軌道に探査機を到達させた。2020年12月に中国は無人探査機を月に軟着陸させ、土壌の採取にも成功している。友好的な技術争い……かに映るが、宇宙における両国の争いには「もう一つの顔」がある。