「風評被害」。福島第一原発事故を経験した地元局が幾度となく伝えてきたのがこの言葉だ。特に事故直後は放射線を巡る不確かな情報による買い控えが起き、福島の生産者は取引先が激減し、心無い言葉をかけられることも多かった。しかし、報じ続けるにつれてこんな声を聴くようになった。「風評をばらまいているのはマスコミ」。福島の食の現在地から風評被害の伝え方の課題を探った。 「死ぬまで福島にいます」広報役のキャリア官僚 貫く異例の働き方 #知り続ける 原発事故が起きた直後の2011年8月、福島県内の大学生らが県外に出向き、生産者を応援するため福島産の桃を売るイベントを開いたところ、こんな言葉を投げかけられたという。 「そんな所に住んじゃダメだ」「福島のものは食べない方がいい」 原発事故で広範囲に放射線物質が拡散した福島県では、放射性物質の検査で安全が証明されたものが市場に出荷される仕組みだ。しかし、当時は検査
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