材料開発は、時間がかかるのが当たり前だった。18年前、『日経ものづくり』2004年12月号の特集「材料が『旬』今こそ使え」は、1990年代後半に花開いた日本ゼオンの高機能プラスチック「COP(シクロオレフィンポリマー)」*1の開発が1986年に始まっていたことを紹介し、「10年前、20年前に種をまいた機能材料が、幾多の試練を乗り越えて出番を待っている」と表現した。息の長い研究開発を進められるのが日本の材料技術の強みだ。 と、思っていた筆者に「いや、それはもはや幻想でしょう」と語ったのは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)材料・ナノテクノロジー部統括研究員の依田智氏。NEDOと産業技術総合研究所(AIST)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本ゼオンのグループは繊維強化プラスチックに対してマテリアルズ・インフォマティックス(MI)技術を適用する実証プロジェクトを手掛け