ETV「原発事故 “最悪のシナリオ”~そのとき誰が命を懸けるのか~」(3月6日)は、東日本大震災による、東京電力福島第1原子力発電所(1F)のメルトダウンの連鎖の大事故において、危機管理の要諦である“最悪のシナリオ”想定した、大局的な視点に立って、政府ことに官邸や東京電力、防衛省、自衛隊などが動いたかどうか。 検証ノンフィクションの傑作である。東日本大震災から10年を迎えて、日本の危機管理体制は当時と変わったのだろうか。残念ながら、番組の答えは否である。(カッコ内の肩書はいずれも当時、敬称略) 政府の一部が検討した“最悪のシナリオ”は、メルトダウンの事故後の1年後に情報公開請求によって明らかになっている。取材チームは、これに加えて日本政府、米軍、自衛隊、東電がそれぞれ描いていた“最悪のシナリオ”の資料も入手した。 細野豪志(首相補佐官)は、「私が得た極秘情報のなかで、このシナリオだけは当時