「65歳を過ぎるとね、働きたくてもビルの管理人か清掃員くらいしか仕事がないのですよ」 都内の大手デベロッパー系マンションで管理人を務めるAさん(68歳)はこう話す。60歳まで航空貨物会社の経理部門で働いていたAさん。定年後も嘱託制度などを利用して働き続けたが、嘱託として働けるのは65歳まで。その後は自分で職を探す必要があった。 「経理はどの会社にも必ずあるからすぐに見つかるだろう」。最初はそう思ったが、現実は甘くはなかった。「みんな若い人を雇いたいらしく、年齢がネックになってしまう。仕事を選べない現実に愕然(がくぜん)としました」。スキルを生かせない仕事は嫌だと、しばらくは働かずにぶらぶらする生活が続いていたが、妻に「このまま働かなくて大丈夫か」とハッパを掛けられた。 老いてはキャリアを生かせる仕事を選べないのか Aさんは退職金の一部を住宅ローンの残債返済に充ててしまったため、貯蓄と合わせ