明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科長の宮下芳明教授が2020年10月、舐めると味がするテレビ「味わうテレビ」(以下、TTTV)を開発・発表した。「ピザ」の映像が映し出された画面を舐めると、ピザの味が楽しめるという。どういう仕組みなのか? 実用化された場合、どのような業界に影響が出てくるのか? 宮下氏に話を聞いてみた。 テレビを舐めると味がする……? どういう仕組み? ――味わうテレビはどういう製品なのでしょうか? 宮下: 10種類の液体を混ぜて料理の味を再現し、液晶画面上のシートに吹きかけます。そこを舐めると、画面に映った料理と同じ味が楽しめるという機器です。 10種類の液体は、人間が感じる「味」を構成する基本5味(塩味、甘味、酸味、苦味、うまみ)と辛味や渋味、アルコールなどです。学術的な「味覚」は基本5味でいいのですが、食体験の再現度を高めるために、痛覚に分類される辛味など