──日本は「課題先進国」である、という主張をされています。「課題先進国」と言うと、マイナスのイメージもありますが、真意はどこにあるのでしょうか? 小宮山宏東京大学総長(以下敬称略): 明治以来、日本は海外からの「モデル輸入」方式で来ました。いわゆるハリウッド映画の世界を目指して。しかし、この方式でやれる時代はもう終わったんです。なぜなら、日本が世界の先頭に立ってしまったからです。環境問題にしても、高齢化問題にしても、すべての課題で日本は世界の最先端にいます。答えのモデルが欧米にあるわけではないのです。 逆に言えば、こうした課題を自分たちで解決すれば、日本発の21世紀型モデルが世界のデファクト・スタンダードになる。さかのぼれば、フランス革命だってそうです。自分たちのために革命を起こした結果、「自由・平等・博愛」という精神が世界に広がりました。ドイツの化学工業も同じです。自分たちのためにつくっ