原油価格が10カ月ぶりの高値をつけた。サウジアラビアの自主減産延長に加え、ロシアの協調が背景にある。 来年は「1バレル=100ドル超え」との見方もあるが、イランの「抜け駆け」などで世界の原油生産はむしろ増加傾向にある。 EVの普及や米中の景気悪化も懸念されるなか、実態を反映しない原油価格の上昇は長続きしない。(JBpress) (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー) 米WTI原油先物価格は9月に入り1バレル=80ドル台後半で推移している。 原油価格は9月5日、1バレル=88ドル台前半と約10カ月ぶりの高値を付けた。サウジアラビアが同日、7月から実施している原油の自主減産(日量100万バレル)を今年12月まで延長することを表明したからだ。「サウジの減産は10月まで続く」との観測があったが、「3カ月の延長」は市場関係者にとって驚きだった。サウジは自主減産を1カ月ごとに見直すと言