鹿児島市内にあるJR鹿児島駅。JR九州は19年8月、秋に完成予定だった駅舎の改修工事の延期を余儀なくされた。来年3月の完成に向けて「待ち」の状況が続く。 山口県では、瀬戸内海の周防大島と本土を結ぶ橋の補修工事が2カ月延びた。滋賀県では、認定こども園の工事が進まず、開園できなかった。愛知県みよし市では、この夏に予定していた学校給食センターの耐震化工事が「入札不調」に終わった。 すべての工事延期は“同一犯”? 駅も橋も子育て施設も給食センターも、その工事の発注元である自治体や企業を悩ます犯人は同じだ。「高力(こうりき)ボルト不足」。日本全国の建設現場で今、このボルトが足りていない。その不足の背景や構造を掘り下げていくと、ここにも「中小企業の淘汰と消滅」が関わっていることが見えてきた。 高力ボルトは鉄骨の柱や天井、梁(はり)をつなぐ部材として使われてきた。利点は取り付けが簡単な点。職人不足に悩む