新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は主に呼吸器に感染し、脳に影響を及ぼすことはまれと考えられていた。ところが、2022年に基礎疾患のない小児が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う急性脳症で死亡したことから、SARS-CoV-2の脳への影響に対する関心がにわかに高まった。東京女子医科大学八千代医療センター小児科教授の高梨潤一氏、東京都医学総合研究所脳・神経科学研究分野こどもの脳プロジェクトプロジェクトリーダーの佐久間啓氏らは、日本の小児におけるCOVID-19関連急性脳症の実態把握を目的に全国調査を実施。その結果、急性脳症に至った患児の半数以上が後遺症なく回復した一方で、死亡例や重度の後遺症が残る児もいたこと、ウイルス関連急性脳症の中でも急性脳症症候群は重症化しやすいことなどが明らかになったと、Front Neurosci(2023; 17: 1085082)に発表した