“命令放送”で国益は守れない、NHKへの“命令”を考察 (田原 茂行=常磐大学講師) 『視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる』著者、田原茂行氏が、総務省によるNHKへの放送命令の意義、影響を考える。 11月10日、菅義偉総務大臣はNHK橋本元一会長に対し、「ラジオ国際放送で、北朝鮮による拉致問題に特に留意して報道することを命ずる」命令書を手渡した。取材陣に囲まれた橋本会長は「これまで通り、放送の自主、自律、番組の編成権を堅持して放送を行うことを(大臣に)申し上げた」と語った。「自主、自律」はいかにも苦し紛れに吐き出された感じだった。 外国旅行中にNHKの番組をテレビで見られるようになったのは、通信衛星が自由に使えるようになった90年代年からのこと。それまでは、短波放送による「ラジオ日本」が唯一の国際放送であった。 戦後の国際化の進行の中で、NHKは「ラジオ日本」の使用言語の拡大を