今回は、キーマンに取材して平成の農政をふり返るとともに、ポスト平成時代の課題を探る企画の第3弾。インタビューしたのはこの連載の常連、福島大学の生源寺真一教授だ。 生源寺氏は旧農業基本法に替わる食料・農業・農村基本法の制定やコメの生産調整(減反)制度の見直し、基本計画の策定など農政に幅広く関わってきた。まさに平成の農政の「証言者」とも言うべき存在だ。 ここで証言者と表現したことには意味がある。農政で長年重用されながら、政府や与党のやることに一定の距離を置き、批判的な立場を守ってきたからだ。そういう姿勢を保っているから、筆者も度々意見を伺ってきた。 みずから政策の立案に関わっていながら、実現したものを後から批判することに対しては、反論も予想される。「政策があるべき姿にならなかった責任の一端を本人も担っているのではないか」と。 そういう見方はわからないでもないが、筆者は立場を異にする。まるで政権