農業政策の目的は何か――。この連載を続けながら最近、とくにそのことを考えるようになった。今回はインバウンド(訪日外国人)を対象にしたJTBの旅行ビジネスがテーマなのだが、本題に入る前に農政について考えてみたい。 そもそも農政は何のために必要なのか。例えば、農業は長い間、規制改革の対象とされてきた。農家の経営を株式会社に衣替えできるようにし、企業参入を促し、農協に改革を迫る。今国会では農地法が改正され、植物工場を造りやすくすることも決まった。 筆者が初めて農業を取材したのは、1990年代半ばのことだ。そのとき、「育成」と言う言葉が政策のキーワードになっていることに、強い違和感を覚えた。民間である農家の経営を、政策で育てるとはどういうことか。何という上から目線!だが、政府による保護を強く求める農業界の姿を見ると、育成の対象とされるのも仕方がないように感じた。 あれから20年以上たち、育成という
![外国人が買う1万円のイチゴ、その先を考えよ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ee70c9180c90291da429fafad60a712acac5b388/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkei.com%2Fatcl%2Freport%2F15%2F252376%2F071700157%2Ffb.jpg)