「これって革新的な技術じゃないか」――。 2021年4月上旬、とある企業のプレスリリースが目に留まった。そこには「HUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)の二重像を軽減する新技術を開発」の文字が躍っていた。HUDにとって長年の課題だった表示映像の二重像。HUD単体でこれを軽減できれば、まさしく世界初の技術といえる。HUDのさらなる普及拡大に強力な追い風となるはずだ。記者はそう確信した。 いったいどの企業が技術開発に成功したのか。HUD世界最大手の日本精機か。それとも世界市場で存在感を示すメガサプライヤーのデンソーやドイツContinental(コンチネンタル)か。もしや供給車種を増やしつつあるパナソニックなのか。 記者の予想はことごとく外れた。驚いたことに、開発したのは映像機器・音響機器大手のJVCケンウッド。純正HUDの供給実績がない同社がいかにして二重像軽減の技術開発に成功したのか。これ