「土地を貸していなかったことを考えるとぞっとするよ」 一族の綿花畑を前に、ラス・ペティは安堵のため息をついた。冷たい風が吹き付ける大地。弾けた綿花で白く染まった畑を見上げれば、白亜の風力発電タービンが屹立している。 テキサス州ダラスから西に4時間ほどクルマで走ったノーラン郡に、綿花畑や牧場など6000エーカーの土地を所有するペティ。彼の敷地では43基の風力タービンがブワーン、ブワーンという独特の音を響かせている。 ペティ家が農場の敷地を風力発電事業者に貸し出したのは綿花栽培を補完するためだ。荒涼としたテキサス西部は雨が少なく、穀物の栽培には不向き。そのため、農家の大半は乾燥に強い綿花と酪農で生計を立てている。だが、頼みの綿花も干ばつで打撃を受けることが少なくない。 敷地の下には原油が埋まっており、石油会社に土地を貸し出しているが、原油の出は悪化しつつある。その中で、別の収益源を確保するため
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