米軍撤退が完了する前に、あっという間にタリバンに奪回され崩壊したアフガニスタン政権と社会の混乱を見ながら、「民主主義」や「自由」のもろさを改めて実感した読者も多いかもしれない。統治機構と社会、権力のバランスが取れた国家はどのようにして成り立つのか。民主主義、自由や繁栄を維持する条件のフレームワーク化に取り組み、ノーベル経済学賞の最有力候補とも評される米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授のインタビューをお届けする。 近共著『自由の命運――国家、社会、そして狭い回廊』(ジェイムズ・A・ロビンソン氏との共著、早川書房)では、自由と民主主義の維持に必要な条件などを考察しました。17世紀英国の哲学者トマス・ホッブスの『リヴァイアサン』にちなんで国家を「リヴァイアサン」と表現し、「外圧のトップダウン」で統治しようとする国家権力は、そもそも社会が同質ではない場合は全く機能しないと