シン・クライアント導入の大きな壁は,初期導入コストが一般にパソコンを使うシステムに比べて高いことだ。前回までに紹介した方式によって異なるが,サーバー側の設備や管理用ソフトウエアなどが追加で必要になるため,通常のパソコンを購入する場合と比べて,多い場合で2倍程度コストがかかることもある。数百台規模のシステムで数億円のオーダーになることも珍しくない。システムの導入に当たっては,パソコンを専用端末に一新する場合もあり,それに伴う初期コストの高さも障壁になっている。 初期コストが跳ね上がることに対して,ベンダー側は以前から「シン・クライアントはパソコンと比べて運用管理費を抑えられる」という導入後のコスト削減効果をアピール。初期コストの高さを相殺できるとしていた。 これまでその効果を実感できるケースは少なかったが,数年にわたってシン・クライアントを運用するユーザー企業の実績から,実際のコスト削減効果