2022年に配信されて大ヒットとなったドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』はASD(自閉スペクトラム症)者を主人公にしていた。ウ・ヨンウはキンパ(海苔巻き)しか食べられず、移動中はヘッドホンを欠かさず、リズムを取って運動するのが苦手だ。これまでフィクションの中ではそれほどフォーカスされてこなかったASD者の「感覚」の特徴も描かれているが、ASD者がもつ感覚過敏・感覚鈍磨は、現実世界ではフィクション以上に周囲から理解が得られにくい。 『科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界』(金子書房)を著した国立障害者リハビリテーションセンター研究所・脳機能系障害研究部 井手正和氏に、定型発達者が知っておきたいASD者の感覚の問題について訊いた。 決まったものしか食べられないことも感覚過敏と関係している? ――ASD者はほとんどの方が何かしら感覚の問題(特徴)を抱えていると考えていいのでしょうか。