1.「査読付きプレプリント」の動向 オープンアクセス、オープンサイエンスに関連して先進的な実践を繰り返してきた雑誌eLifeが2023年から衝撃的な取り組みを開始したのは皆さんご記憶かと思います。もともと2021年半ばから、eLifeは論文投稿前のプレプリント公開を投稿要件としていましたが、2023年1月からはさらに先に進み、査読はするものの「受理/却下」という2値的な(binaryな)判断を下すことをやめ、投稿論文で査読に進んだものはすべて掲載する、と言い出したのです[1]。もともと電子ジャーナルなので掲載とはなんぞやという話ではありますが、査読でたとえネガティブなコメントがついたとしても掲載されるとなると、査読もいったいなんのために行うのか。これについては2021年から査読レポートの公開も開始していたので、読者は査読レポートを読んで、そこでの評価に基づいて各論文をどう捉えるかは自分で判