被虐待児の割合が約76%まで増えていることが判明した情緒障害児短期治療施設(情短)では、職員が心の傷を負った子供への対応に追われ、疲弊している。「施設運営の仕組みを見直して」。現場の声は切実だ。 西日本にある民間施設の職員は2009年のある朝、中学生の少女が起きてこないため、部屋に入って驚いた。少女は布団の中で手首をカミソリで切り、ぐったりしていた。治療で命は取り留めたが、「施設では、自傷行為は珍しいことではない」と職員は語る。 少女は家族から虐待を受けていた。精神科医が定期的に治療し、心理療法士や保育士の職員がカウンセリングや箱庭療法なども施すが、過去を思い出す度にリストカットを繰り返した。 施設では約20人が暮らすが、ほとんどが被虐待児。児童相談所の指示で、児童養護施設などから移ってきた子供もいる。併設の「学校」で授業を受け、施設に戻って食事、入浴などの後、個室で就寝する。軽度の子を受